2023年4月4日に公認会計士協会が、「スタートアップ企業の価値評価実務」というガイドライン(以下、「スタートアップ価値評価ガイドライン」)を公表しました。
これは今まで日本においては明確なガイドラインが無かったスタートアップ企業の価値評価の留意点や種類株式の価値評価を中心に解説しています。
従来、スタートアップ企業の価値評価の際に参照するガイドラインとしては、欧州各国のプライベートエクイティやベンチャーキャピタル業界団体によって設定された「International Private Equity and Venture Capital Valuation Guideline」(以下、「IPEVガイドライン」が使われていました。
IPEVガイドラインは、どちらかというと企業価値評価方法のうち、過去の取引事例や競合他社の事例などを参照して価値を決めるマーケット・アプローチを中心に説明しています。
これに対して、今回、公認会計士協会が公表したスタートアップ価値評価ガイドラインは、前述のマーケット・アプローチによる価値評価ではなく、対象会社の事業計画を基にDCF法などで企業価値を算定するインカム・アプローチを中心に解説しており、前述のマーケット・アプローチの利用については慎重な姿勢を打ち出しています。
現在、上場企業やコーポレートベンチャーキャピタルがスタートアップ企業への投資を積極的に検討していますので、今後は、上場企業などと監査法人との間で、出資後の減損会計の適用もクローズアップされてくる課題になると思います。
そのような中で、公認会計士協会がスタートアップ企業の価値評価に関してインカム・アプローチを中心に解説したガイドラインを公表しましたので、今後は上場企業やコーポレートベンチャーキャピタルを中心に、スタートアップ企業への出資の検討をする際に、将来の減損会計の適用も踏まえて、出資候補先のスタートアップ企業の価値を、事業計画に基づいて算定するインカム・アプローチを採用する企業が増えてくるのではないかと考えます。
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