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学校法人会計の概要

学校法人会計は、学校法人の財政状態、収支状況、資金の流れを適切に表示し、関係者に対して説明責任を果たすための基盤です。学校法人は、私立学校法に基づく学校法人会計基準に従い、計算関係書類を作成します。

学校法人会計を理解するうえでは、作成する書類の種類だけでなく、セグメント情報、引当金、注記・開示など、財務情報をより分かりやすく、実態に即して伝えるための仕組みを押さえておくことが重要です。

図1 学校法人会計の現行制度の概要

1.学校法人会計の役割

学校法人は、教育研究活動を継続的に行うことを目的とする法人です。そのため、学校法人会計では、収益性だけでなく、教育活動を安定的に継続できる財政基盤があるか、資金がどのように使われているか、将来の負担を適切に認識しているかといった点が重視されます。

計算書類は、理事会や評議員会での意思決定、監事監査や会計監査人監査、所轄庁への提出、情報公開などの基礎となります。学校法人における会計は、内部管理のためだけでなく、社会に対する説明責任を果たすための重要な情報提供手段です。

2.作成する主な書類

学校法人が作成する中心的な書類は、貸借対照表、事業活動収支計算書、資金収支計算書、活動区分資金収支計算書などの計算書類です。これらにより、期末時点の財政状態、年度の収支状況、資金の流れ、活動区分ごとの資金収支を把握できます。

計算書類には、固定資産明細書、借入金明細書、基本金明細書などの附属明細書が付随します。また、財産目録、事業報告書、事業報告書附属明細書も、学校法人の状況を理解するための重要な資料です。

私学助成を受ける学校法人では、これらに加えて、事業活動収支内訳表、資金収支内訳表、人件費支出内訳表、収支予算書など、助成法上の提出書類も必要になります。私学助成がある場合は、私学法に基づく書類と助成法上の提出書類を区別しながら、全体として整合するように作成することが重要です。

3.セグメント情報の作成

現行制度においては、学校法人の活動をより分かりやすく示すため、セグメント情報の作成・表示が重要なポイントになります。学校法人は、複数の学校、学部、部門、事業を運営していることが多く、法人全体の数字だけでは、それぞれの活動実態が見えにくい場合があります。

セグメント情報を作成することで、学校・学部等の区分に応じた収支や財務情報を整理し、関係者が学校法人の運営状況を理解しやすくなります。特に、複数の教育機関を設置している法人や、部門ごとの資源配分を説明する必要がある法人では、セグメント情報の整備が重要です。

実務上は、どの単位で区分するか、共通費をどのように配分するか、継続的に同じ基準で作成できるかといった点が課題になります。会計処理だけでなく、内部管理資料や予算管理との整合性も意識する必要があります。

4.引当金の計上

学校法人会計では、将来発生が見込まれる費用や損失について、必要に応じて引当金を計上します。代表的なものとして退職給与引当金があります。退職給与引当金は、教職員の退職給付に備えるため、将来の支出見込額を会計上適切に反映するものです。

引当金の計上は、将来の負担を財務情報に反映させるための重要な会計処理です。引当金が適切に計上されていない場合、現在の財政状態が実態よりも良く見えてしまう可能性があります。そのため、見積りの前提、計算方法、基礎データの正確性を確認し、継続的に管理することが重要です。

退職給与引当金などの見積項目は、年度ごとの教職員数、給与水準、制度変更、退職給付制度の内容などによって金額が変動します。決算時に慌てて計算するのではなく、日頃から必要な情報を管理しておくことが、正確な決算と円滑な監査対応につながります。

5.注記・開示の充実

計算書類の数字だけでは、学校法人の状況を十分に説明できない場合があります。そのため、重要な会計方針、会計上の見積り、資産・負債に関する補足情報、学校法人の運営状況に関する事項などについて、必要な注記や開示を行うことが重要です。

注記・開示は、単に形式的に記載するものではなく、利用者が学校法人の財務内容を理解するための補足説明です。特に、大臣所轄学校法人等では開示義務があるため、外部の利用者にも分かりやすい表現を心掛ける必要があります。

ホームページ等で学校法人会計を紹介する際は、計算書類の種類だけでなく、セグメント情報、引当金、注記・開示といった項目をあわせて説明することで、現在の学校法人会計の全体像が伝わりやすくなります。

6.実務上の留意点

学校法人会計では、会計処理、決算書類の作成、監査対応、所轄庁への提出、情報公開が相互に関連しています。したがって、決算作業を単なる年1回の作業として捉えるのではなく、年度を通じた財務報告プロセスとして整備することが大切です。

特に、固定資産、基本金、補助金、人件費、退職給与引当金、セグメント情報などは、学校法人会計において重要性が高い項目です。これらについて、日常的な資料整理と会計処理方針の明確化を行っておくことで、決算・監査・開示をスムーズに進めることができます。

学校法人会計は、学校法人の財務内容を正確に示すだけでなく、教育活動の継続性と透明性を支える仕組みです。現行制度を前提に、自法人に必要な書類、会計処理、開示項目を整理し、分かりやすく説明できる体制を整えることが求められます。

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ドイツ税務のアップデート2026年7月

  1. 助成金・補助金制度 2026年:企業が今知っておくべきプログラム
  2. 税務調査とタックスヘイブン:企業が今注意すべきポイント
  3. ドイツにおける持株会社の活用と税務上の留意点

1. 助成金・補助金制度 2026年:企業が今知っておくべきプログラム

    革新的な企業は、研究開発税制による支援だけでなく、さまざまな補助金・融資制度を活用することができます。研究開発、デジタル化、エネルギー効率化、気候保護への投資を支援する多くの制度が用意されています。助成制度の全体像を把握しておくことで、企業はプロジェクトを大きな公的支援を受けながら進めることが可能になります。

    KMU-innovativが次の募集ラウンドを開始

    助成プログラム「KMU-innovativ」は、特に革新性の高い技術開発に取り組む中小企業を支援する制度です。対象となる分野には、医療技術、情報技術、気候・エネルギー、バイオエコノミー、新素材などが含まれます。

    現在の募集ラウンドでは、2026年10月15日までプロジェクト概要書を提出することができます。プロジェクト概要が肯定的に評価された後、正式な申請手続きに進むことができます。なお、企業は、原則として、助成の承認を受けるまではプロジェクトを開始してはならない点に注意が必要です。

    プロジェクトの内容や企業規模によっては、最大80%までの補助金を受けられる可能性があります。特に、人件費、材料費、共通費、外部サービス費、投資費用などが助成対象となります。

    研究開発税制は引き続き重要な支援手段

    研究開発税制は、2020年の導入以降、革新的な企業にとって最も重要な支援制度の一つとなっています。この制度は、企業の規模や業種を問わず利用でき、基礎研究、産業研究、実験的開発のプロジェクトに活用することができます。

    税制優遇の対象となるのは、主に社内の研究開発担当者に係る人件費や、一定の外部研究委託費です。優遇措置を受けるためには、研究開発税制認証機関(BSFZ)による認証が必要です。

    承認された研究開発税額控除は、次回の所得税または法人税の課税手続きにおいて考慮されます。控除額が確定税額を上回る場合には、その差額が払い戻されます。

    この制度は、赤字企業や、まだ納税額がない、または少額にとどまるスタートアップ企業にとっても特に有用です。

    2022年のプロジェクトに関する期限に注意

    2022年に助成対象となる費用が発生した研究開発プロジェクトについては、重要な期限があります。必要となるBSFZの認証は、遅くとも2026年12月31日までに申請しなければなりません。この期限を過ぎて申請した場合、該当する費用は考慮されなくなります。

    なお、対象となる研究プロジェクトは、早くとも2020年1月1日以降に開始されたものである必要があります。

    連邦産業・気候保護助成制度が再開

    連邦産業・気候保護助成制度(BIK)は、気候に配慮した生産プロセス、脱炭素化措置、研究・イノベーションプロジェクトへの投資を支援する制度です。この制度は、特に産業分野の中堅企業を対象としており、投資プロジェクトと研究開発プロジェクトの双方を対象としています。

    一時的に利用できない期間がありましたが、2026年1月初めに第2回募集が公表されました。企業は、産業の脱炭素化、ならびにCO₂の回収・利用・貯留に関するプロジェクト概要書を提出することができました。助成額の上限は、モジュールに応じて、1プロジェクトあたり最大3,500万ユーロです。

    一部の提出期限はすでに終了していますが、企業は今後の制度の動向を引き続き注視すべきです。助成額が大きく、産業分野における気候保護が長期的に重要な政策課題であることから、今後も追加の募集が行われる可能性があります。

    エネルギー・資源効率化は引き続き重点分野

    連邦経済分野エネルギー・資源効率化助成制度(EEW)は、企業のエネルギー消費量および資源消費量を削減するための投資を支援する制度です。

    現行の助成指針の施行以降、助成条件は大幅に簡素化されています。特に中小企業については、新たな基礎助成により、助成金へのアクセスが容易になっています。さらに、電化、再生可能エネルギーの利用、排熱利用、グリーン水素の利用に関するプロジェクトについて、追加的なインセンティブが設けられています。

    助成額の上限も引き上げられました。大規模なプロジェクトについては、現在、最大2,000万ユーロまでの助成を受けられる可能性があります。

    KfWがデジタル化とイノベーションを支援

    KfWは、2025年7月以降、デジタル化・イノベーションプロジェクト向けの新たなERP支援融資を提供しています。これらのプログラムは、年間売上高5億ユーロ以下の企業を対象としており、最大2,500万ユーロまでの資金調達を可能にします。

    助成対象には、ITインフラ、デジタル業務プロセス、ソフトウェアソリューション、ネットワーク、ITセキュリティ、デジタル分野における従業員研修などへの投資が含まれます。

    複数の助成段階が設けられているため、初期的なデジタル化の取り組みから高度なイノベーションプロジェクトまで、幅広く支援を受けることができます。

    助成制度の全体像を把握することが重要

    助成制度には多くの選択肢があるため、定期的に利用可能性を確認することが有益です。最初の情報収集には、連邦経済・エネルギー省の助成データベースが役立ちます。同データベースでは、連邦、州、欧州連合の助成プログラムに関する情報や、助成要件、申請手続きに関する案内を確認できます。

    また、起業家や創業予定者向けにも、適切な助成制度や追加的な相談支援に関する情報が掲載されています。助成金を早い段階から事業計画に組み込むことで、企業は投資をより計画的に資金調達し、自社の競争力を持続的に高めることができます。

    2. 税務調査とタックスヘイブン:企業が今注意すべきポイント

      2027年以降、税務調査における新たな企業規模区分が適用されます。同時に、特定の国・地域との取引に関する税務上のルールも厳格化されています。そのため、企業にとっては、この2つの動向を正確に把握することが重要です。いずれも、税務調査リスクや税負担に大きな影響を及ぼす可能性があります。

      2027年から税務調査における新たな企業規模区分が適用

      企業は、税務調査の対象区分として、複数の規模区分に分類されます。この分類においては、特に売上高、利益、事業の種類が重要な判断要素となります。そして、この区分は、税務調査を受ける可能性に大きく影響します。

      2027年1月1日から、税務当局の第25次調査期間が開始されます。これに伴い、連邦財務省は大規模企業に該当するための基準値を見直しました。これまでぎりぎり大規模企業に該当していた企業については、売上高や利益に大きな変動がない場合、今後は中規模企業に分類される可能性があります。

      この変更は、実務上大きな影響を及ぼす可能性があります。大規模企業は、小規模な企業と比べて、税務調査を受ける頻度が大幅に高いためです。直近の統計によれば、2024年における全企業の平均税務調査率は1.6%でした。一方、大規模企業の調査率は29.6%、中規模企業は18.5%でした。小規模企業の調査率は2.7%、零細企業ではわずか0.7%にとどまっています。

      したがって、対象となる企業にとっては、新たな分類により税務調査リスクが低下する可能性があります。

      タックスヘイブンとの取引に関する規制強化

      いわゆる非協力的な税務管轄地域との取引関係については、引き続き特に注意が必要です。その根拠となるのが、タックスヘイブン対策法です。対象となる国・地域は、税務目的における非協力的国・地域に関するEUリストを基準としており、このリストは定期的に更新されています。対象には、例えばパナマやロシアなどが含まれます。

      企業がこのような国・地域と取引を行う場合、重大な税務上の影響が生じる可能性があります。一定の場合には、本来、租税条約により低い税率が適用される場合であっても、15%の源泉税が課されます。さらに、特定の取引に関連する事業費用が、税務上損金算入できなくなる可能性もあります。また、外国子会社合算課税も強化されており、これらの地域から生じる所得が、より早い段階でドイツにおいて課税される可能性があります。

      加えて、文書化義務および協力義務も厳格化されています。そのため、企業は、このような国・地域との取引関係について、特に慎重に証明資料を整備し、継続的に確認する必要があります。

      なぜ企業は今、自社の体制を確認すべきか

      税務調査における新たな企業規模区分と、国際取引に関する規制強化の双方は、税務当局が調査・管理体制をさらに高度化していることを示しています。

      そのため、企業は、自社が今後どの規模区分に分類されるのか、また既存の国際取引関係がタックスヘイブン対策法の対象となる可能性があるのかを、早い段階で確認すべきです。事前に分析を行うことで、税務リスクや追加的な事務負担を回避・軽減することができます。

      3. ドイツにおける持株会社の活用と税務上の留意点

        企業グループの構成をどのように設計するかは、税負担や将来の投資余力に大きく影響します。特に、複数の会社を保有する場合や、将来的な事業売却・再投資・事業承継を予定している場合には、持株会社(Holding)を活用することで、グループ内の利益を効率的に集約し、戦略的に活用できる可能性があります。

        もっとも、持株会社はすべての企業にとって有利な万能の仕組みではありません。単に会社を増やせば税務メリットが生じるわけではなく、利益水準、投資計画、株主構成、将来の出口戦略などを踏まえて慎重に検討する必要があります。

        また、持株会社には、株式保有を主目的とする純粋持株会社と、自らも事業活動を行う事業持株会社があります。どちらの形を採るべきかは、グループ全体の事業内容や管理方針によって異なります。

        税務上の基本的な仕組み

        ドイツでは、事業会社である資本会社から持株会社へ配当を行う場合、法人税上、その配当の95%が非課税となります。残りの5%は、損金不算入の事業費用とみなされ、課税対象となります。

        その結果、配当を持株会社で受け取る場合の実効税負担は、概ね1.5%程度に抑えられます。これは、5%部分に対して法人税・営業税等を含む通常の実効税率が課されるためです。

        一方、営業税については注意が必要です。配当について営業税上の免税を受けるためには、原則として課税期間の開始時点で15%以上の持分を保有している必要があります。この要件を満たさない場合には、法人税上は95%非課税であっても、営業税上は追加の税負担が生じる可能性があります。

        なお、法人税上の95%非課税については、最低持分割合の要件は設けられていません。

        個人株主に配当する場合の課税

        持株会社に利益を留保している限り、個人株主レベルでの課税は発生しません。個人株主に課税が生じるのは、持株会社から個人へ配当を行った時点です。

        自然人である株主が配当を受ける場合、原則として25%の源泉分離課税に各種付加税が加算されます。一定の要件を満たす場合には、部分所得課税方式が適用されることもあります。この場合、配当所得の60%が個人の累進税率で課税されます。

        部分所得課税方式の適用には、通常、25%以上の持分を保有していること、または会社で職務に従事している場合には1%以上の持分を保有していることが必要です。

        このように、持株会社の主な効果は、個人レベルでの課税を将来に繰り延べる点にあります。つまり、持株会社のメリットは、利益をすぐに個人へ配当する場合よりも、持株会社内に留保して再投資する場合に大きくなります。

        株式譲渡益の取扱い

        持株会社が子会社株式を売却して譲渡益を得た場合も、原則としてその95%が非課税となります。課税されるのは5%部分のみであるため、実効税負担は配当の場合と同様に、概ね1.5%程度にとどまります。

        このため、将来的に子会社や事業会社の売却を予定している場合には、持株会社を通じて株式を保有することで、売却代金の大部分をグループ内に残し、次の投資や買収に活用しやすくなります。

        ただし、10%未満の少数持分については注意が必要です。このような持分から生じる配当は全額課税対象となります。一方で、株式譲渡益については、引き続き95%非課税の対象となります。

        持株会社の戦略的な意義

        持株会社構造の大きなメリットは、グループ内で生じた利益や売却代金を、個人へ配当せずにグループ内に残せる点です。

        例えば、事業会社で利益が発生した場合、その利益を持株会社に配当し、持株会社が別の事業への投資、子会社の買収、新規事業の立ち上げ、設備投資などに活用することができます。

        また、事業会社を売却した場合でも、売却代金を個人株主に直接移すのではなく、持株会社に留保することで、比較的低い税負担で再投資資金を確保できます。

        このように、持株会社は、単なる節税手段というよりも、グループ全体の資金を効率的に管理し、成長投資に回すための仕組みといえます。

        活用が考えられる場面

        持株会社の活用が特に検討されるのは、次のようなケースです。

        • 事業会社で継続的に利益が出ている場合 
        • 利益を個人に配当せず、再投資に回したい場合 
        • 複数の子会社や投資先を保有する予定がある場合 
        • 将来的に事業売却やM&Aを予定している場合 
        • グループ全体で資金を集約して投資判断を行いたい場合 
        • 事業承継を計画的に進めたい場合 

        相続税や贈与税上の優遇措置が活用できるかどうかは、持株会社の具体的な設計や保有資産の内容によって異なります。そのため、事業承継目的で持株会社を設立する場合には、法人税だけでなく、相続税・贈与税の観点からも検討が必要です。

        限界とリスク

        持株会社にはメリットがある一方で、管理負担とコストも増加します。持株会社と事業会社は別法人であるため、それぞれについて会計帳簿、決算書、税務申告書を作成する必要があります。

        そのため、会計・税務・法務に関する追加コストが発生します。構造にもよりますが、一般的には年間2,000ユーロから5,000ユーロ以上の維持コストが生じることもあります。

        また、グループ内に複数の会社があっても、損益通算が自動的に認められるわけではありません。会社間で損益を通算するためには、税務上の連結制度に相当するOrganschaftの適用が必要となります。この制度を利用するには、財務的な統合、利益移転契約、少なくとも5年間の契約期間など、厳格な要件を満たす必要があります。

        さらに、グループ会社間取引については、第三者間取引と同様の条件で行う必要があります。取引条件が不適切な場合には、隠れた利益配当とみなされるリスクがあります。また、租税回避防止規定である租税通則法第42条にも注意が必要です。

        加えて、持株会社内に利益を留保していても、その資金を個人株主が自由に使えるわけではありません。個人で使用するためには、最終的に配当等により資金を引き出す必要があり、その時点で個人課税が発生します。

        さらに、株主が国外へ転出する場合には、1%超の持分について出国税が問題となる可能性があります。EUまたはEEA域内への転出については納税猶予が認められる場合がありますが、国外移住を予定している株主がいる場合には、事前の検討が重要です。

        まとめ

        持株会社は、事業会社の利益や株式売却益を、比較的低い税負担でグループ内に集約し、再投資に活用できる有効な仕組みです。特に、利益をすぐに個人へ配当せず、将来の投資、買収、事業拡大、事業承継に活用したい場合には、大きなメリットが生じる可能性があります。

        一方で、持株会社のメリットは、最終的な税金を完全に回避することではなく、主に課税を繰り延べ、再投資資金を効率的に確保する点にあります。したがって、後日すべての利益を個人に配当する場合には、最終的な税負担を含めて慎重にシミュレーションする必要があります。

        持株会社を設立すべきかどうかは、利益水準、再投資計画、株主構成、事業売却の可能性、将来の相続・事業承継方針によって大きく異なります。導入を検討する際には、税務メリットだけでなく、管理コスト、実務負担、将来の出口戦略まで含めて、総合的に判断することが重要です。


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        taxes reiwa

        令和8年度(FY2026)税制改正のポイント解説

        ― 法人課税に関する改正 ―

        1. 令和8年度(FY2026)税制改正大綱の概要
        2. 法人課税に関する改正
        3. 個人所得税関連
        4. 消費税関連
        5. 国際課税

        令和7年12月26日、「令和8年度税制改正大綱」が閣議決定されました。

        今回は法人課税に関して多くの外資系企業に関係のある改正内容について解説いたします。

        (1)企業グループ間取引における書類保存の特例

        ① 内容

        関連者(親・子会社、兄弟会社等)間の取引を行う場合において、対価の額や計算根拠が記載された取引関連書類を取得し保存しなければならない。

         ②対象取引

        ・工業所有権、著作権やプログラムの著作物等の譲渡又は貸付け

        ・役務の提供(研究開発、広告宣伝、資産維持・管理、経営管理・指導、その他役務の提供に類するもの)

        ③ 対象となる者

        対象取引について関連者から請求を受け対価を支払う国内の法人

        ④ 取引関連書類等とは

        取引について受領し、若しくは交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類で、法人税法の規定により保存しなければならないもの

        ⑤ペナルティ

        書類の保存が法令の定めに従っていないと認められる場合は青色申告の承認取消事由となる。

        ⑥適用開始

        令和8年(2026年)4月1日からの取引が対象となる

        (2)賃上げ促進税制の見直し

        大企業、中堅企業は廃止、厳格化の方向に。中小企業については現状維持

        区分条件R8年4月1日以降
        大企業資本金1億円超
        従業員2,000人超
        廃止
        中堅企業資本金1億円超
        従業員2,000人以下
        一部廃止、厳格化
        中小企業資本金1億円以下*現状維持
        R8年4月1日以降に開始する事業年度が対象
        よって、令和8年1月1日開始事業年度は対象とならず


        *資本金の額又は出資金の額が5億円超の法人との間に完全支配関係がある法人から、1/2以上の出資を受ける法人は中小企業ではなく大企業となります。

        ●大企業:従来の予定より1年早めての廃止となる

        ●中堅企業:継続雇用者給与等支給額の引き上げ要件を3%以上から4%以上に引き上げたうえで、2027年(令和9年)をもって廃止。教育訓練費の上乗せ措置は廃止

        ●中小企業:教育訓練費の上乗せ措置を廃止する

        (3)特定生産性向上設備等投資促進税制の創設

        ① 内容

         全業種を対象に、一定の投資利益率及び一定額以上の生産設備を構成する資産の取得をした場合に、即時償却又は7%(建物、建物附属設備、構築物は4%)の税額控除を認める。

        投資利益率:年平均15%以上が見込まれる

        投資合計額:中小企業者は5億円以上、それ以外は35億円以上

        ② 対象となる資産

        生産設備が対象であり、事務用器具備品、本店建物、福利厚生施設など、生産設備に該当しないものは対象ではない。

        機械装置:1台の取得価額が160万円以上

        工具・器具備品:同120万円以上、又は同40万円以上かつ合計で120万円以上

        建物:取得価額が1,000万円以上

        建物付属設備:同120万円以上、又は同60万円以上かつ合計120万円以上

        構築物:同120万円以上

        ソフトウェア:同70万円以上

        ③ 対象となる法人と要件

        1. 青色申告法人で、経済産業局から本件資産に関する投資計画の確認を受けた法人
        2. その確認を受けた日から同日以後5年を経過する日までの期間内に取得し、事業の用に供すること

        (4)研究開発税制―戦略技術領域型研究開発税制の創設

        ① 内容

        AI・量子・半導体など国家的に重要な技術への投資を重点支援するために、研究開発税制のなかで戦略技術領域型として別枠で税額控除を設ける。


        (出典)経済産業省 令和8年度経済産業関係税制改正について 令和7年12月

        事業者が自ら実施する戦略技術領域の研究開発に40%の控除を認める

        ② 対象となる領域

         AI、先端ロボット、量子、半導体・通信、バイオ・ヘルスケア、フュージョンエネルギー、宇宙

        1.  税額控除の詳細
        1. 青色申告書を提出する法人で、産業技術力強化法の重点研究開発計画につき認定を受けたもの
        2. 令和11年3月31日までの期間を含む各事業年度において
        3. 重点産業技術研究費の額×40%の税額控除を認める

        ※重点産業技術共同研究開発機関と共同して、またはその機関に委託して行う場合は50%

        (iv)  当期の法人税額の10%を上限として、超過分については3年間の繰越しができる

        (5) その他の研究開発税制に関する改正の全体像 

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        令和8年度(FY2026)税制改正大綱の概要

        ― 外資系企業・国際税務に関する主なポイント ―


        令和7年12月26日、「令和8年度税制改正大綱」が閣議決定されました。
        本改正では、物価上昇や賃上げへの対応に加え、「強い経済」の実現を目的として、設備投資・研究開発の促進と、税務の公平性・透明性の確保が同時に進められています。

        特に外資系企業にとっては、活用可能な税制優遇が拡充される一方で、国際税務や関連者取引に関する管理強化が進む点が大きな特徴です。

        本改正は、税額の増減以上に「グループ内取引の説明責任」が重視される内容となっている点に留意が必要です。

        以下では、外資系企業および国際税務の観点から、特に重要なポイントを解説します。


        1.国際税務・グループ内取引に関する改正の方向性

        関連者取引に係る書類保存義務の創設

        令和8年度改正では、「公平かつ円滑な納税のための環境整備」の一環として、企業グループ間取引に係る書類保存義務が新たに創設されます。

        本改正は移転価格税制そのものを変更するものではありませんが、外資系企業において頻繁に行われる以下のような取引が主な対象となります。

        • 海外親会社等へのロイヤルティの支払
        • 管理サービス費・経営指導料
        • IT、研究開発、マーケティング等に係る役務提供
        • 無形資産(知的財産権、ソフトウェア等)の利用に関する取引

        これらの取引については、対価算定の根拠や提供内容を裏付ける契約書・明細資料等の保存が、これまで以上に重要となります。

        また、書類不備がある場合には、青色申告の承認取消しにつながる可能性がある点にも留意が必要です。

        外資系企業においては、日本子会社単独での対応にとどまらず、海外本社(HQ)との連携体制や契約管理の見直しが実務上の重要論点となります。


        2.研究開発税制の見直しと国際共同研究への影響

        重点産業技術に係る研究開発税制の強化

        研究開発分野では、AI・半導体・バイオ・量子・宇宙などを対象とする「重点産業技術試験研究費」に係る新たな税額控除制度が創設されます。

        外資系企業との関係では、特に以下のケースが重要となります。

        • 日本子会社が海外グループ企業と共同研究を行っている場合
        • 日本子会社が海外法人へ研究開発を委託している場合

        国外で実施される委託研究については、税額控除対象額が一定割合に制限される仕組みが導入されており、研究の実施場所、契約形態、成果の帰属関係の整理がこれまで以上に重要となります。

        研究開発機能を日本に有する外資系企業にとっては、税務メリットを享受できる可能性がある一方、制度適用に向けた事前の検討・設計が不可欠です。


        3.外資系企業に関係の深い投資促進税制

        特定生産性向上設備等投資促進税制の創設

        国内投資を後押しする施策として、一定規模以上の設備投資を行う法人を対象に、即時償却または税額控除を選択適用できる新たな投資促進税制が創設されます。

        本制度は、日本市場向けの生産拠点や研究開発拠点を有する外資系企業にとって有効な選択肢となり得ますが、以下の点に留意が必要です。

        • 最低投資額や規模要件
        • 雇用増加や国内投資割合等の要件
        • 他の税制優遇との併用制限

        日本への追加投資を検討している外資系企業にとっては活用余地がある一方、事前の税務・事業設計が重要となります。


        4.大企業・外資系企業に対する税務規律の強化

        研究開発税制や投資関連税制については、一定規模以上の法人に対し、賃上げ要件や設備投資要件を満たさない場合の税額控除制限が強化されます。

        特に外資系企業においては、

        • 日本子会社単体の財務数値・雇用状況で判定される点
        • グローバル戦略と日本の税制要件との間にギャップが生じやすい点

        から、本社主導の戦略と日本の制度要件をすり合わせる視点が不可欠です。


        5.人事・給与・赴任者(Expat)に関係する改正

        個人所得課税分野では、各種控除の見直しや非課税限度額の引上げ等が行われています。

        外資系企業においては、以下の観点からの確認が重要です。

        • 高所得役員・赴任者への影響
        • 福利厚生制度(食事、通勤手当等)の税務上の取扱い
        • グロスアップ給与設計への影響

        制度自体は改善されているものの、日本特有の実務運用への対応は引き続き重要です。


        6.まとめ ― 外資系企業にとっての実務上の示唆

        令和8年度税制改正は、外資系企業にとって以下の特徴を有しています。

        • 投資・研究開発分野では活用可能な税制優遇の拡充
        • 国際税務分野では税率変更よりも管理・説明責任の強化
        • 日本子会社主導での税務管理・契約整理の重要性の高まり

        外資系企業においては、税務対応を事後的な処理にとどめるのではなく、事前の制度設計および管理体制の整備がこれまで以上に重要となる改正といえるでしょう。本改正を機に、グループ内取引や研究開発体制、投資計画について、改めて日本税制の観点から整理する企業も増えることが想定されます。

        以後、数回に分けて改正内容について解説していきます。



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        ドイツ税務のアップデート2026年3月

        1. 業務文書及び会計帳簿等の保存期間について

        2. GmbHの資金調達:株主からの借入金に利息を付けるべきか

        3. 給与所得税の源泉徴収:2026年1月1日以降の社会保険控除の新制度

        4. 社内イベントにおける給与税の一括課税(パウシャル課税):2026年からすべてが新しくなる?

          1. 業務文書及び会計帳簿等の保存期間について

          年末になると、どの書類やデータを破棄または削除できるかが問題になることがよくあります。その際には、いくつかの点に留意する必要があります。

          背景

          商法および税法では、事業者は、紙媒体であれ電子データであれ、事業および会計関連書類を一定期間保存しなければならないと規定しています(商法第257条、租税基本法第147条(AO)、 電子形式の帳簿、記録、書類の適切な管理および保管、ならびにデータアクセスに関する原則(GoBD))。保管期間の長さは、書類やデータの種類によって異なります。

          データごとに異なる保管期間

          最長の保存期間である 10 年は、特に、商業帳簿、在庫目録、期首貸借対照表、年次決算報告書、およびそれらの理解に必要な作業指示書やその他の組織文書に適用されます。

          最短の保存期間である 6 年は、受信および送信の商業文書やビジネス文書などに適用されます。

          ご注意:第 4 次官僚機構削減法により、会計伝票の保存期間は従来の 10 年から 8 年に短縮されました。この緩和措置は、原則として、同法の発効日(2025 年 1 月 1 日)時点で、従来の 10 年間の保存期間が満了していない場合に適用されます。

          開始日が重要

          6 年、8 年、10 年という保存期間の満了は明確に定義されています。しかし、重要なのは、保存期間がいつから開始されるかを明確にすることです。AO(ドイツ税法)第 147 条第 4 項では、次のように規定されています。「保存期間は、帳簿への最後の記入、目録、開始貸借対照表、年次決算報告書または状況報告書の作成、商取引文書または業務文書の受領または発送、会計伝票の作成、記録の作成、その他の書類の作成が行われた暦年の終了時に開始する。」

          注意:

          文書の保存期間は、年次決算書の対象年度やその年度末ではなく、年次決算書が作成された年度、または最後に記帳された年度から開始する点が重要です。例えば、2015 年に作成された 2014 年度の年次決算書の保存期間は、2025 年 12 月 31 日に終了します。

          重要な税務調査の時効が成立していない場合、文書の保存期間は延長される場合があります。これは、特に(予告のある)税務調査や、訴訟が係属している場合に適用される可能性があります。

          電子ファイルの場合、保存義務とは、関連する期限内に、データを元の形式でいつでも呼び出せるようにしておくことを意味します。紙媒体での保存だけでは不十分です。

          2. GmbHの資金調達:株主からの借入金に利息を付けるべきか

          小規模なGmbH(有限会社)は、株主から資金を借り入れるケースが多くあります。その際に借入金に利息を付けるべきか、もしくは無利息で貸し付けるべきかという問題が生じます。具体的な事例から、両方のケースの税務上の影響について示し、利息を付けることが有益かどうかについて考えてみましょう。

          前提条件

          A は、GmbH の唯一の株主であり、代表社員です。GmbH は年間 100,000 ユーロの利益を上げ、事業税率が 440% の自治体に所在しています。A 自身は独身で、無宗教です。彼の収入には、42% の均一税率と 5.5% の連帯税が課されます。

          Aの有限会社が事業投資のための資金を必要としているため、A は GmbHに100,000 ユーロの融資を行いたいと考えています。そこでAは次の疑問を抱いています。GmbHに無利子で融資を行い、削減できた利息額を後に自身に分配すべきか、それとも、市場金利である年率 3% の金利でGmbHに貸し付ける契約を締結した方が良いかを検討しています。なお、A は、他の資本収益のために、貯蓄者控除額をすでに使い果たしています。

          シナリオ 1:無利息での貸し付け

          「無利息での貸し付け」のシナリオでは、税務上の影響は次のとおりです。

          1. GmbH レベルでの税負担

            無利息での貸し付けの場合、GmbH は100,000ユーロの利益を計上することになります。なお、無利息の場合でも借入金がGmbH の税務上の貸借対照表において年率 5.5% で割引計算されるわけではないということです。無利息の負債を強制的に割引計算して貸借対照表に計上する制度は 2023 年に廃止されています。

            100,000 ユーロの利益は、15% の法人税(KStG 第 23 条第 1 項)と 5.5% の連帯追加税(SolzG 第 4 条)の対象となるため、税負担は 15.825% (15,825 ユーロ)となります。さらに、この利益は営業税の対象にもなります。営業税の税率は440%で、15.40% (3.5 x 440/100) となるため、15,400ユーロの営業税が課税されます。これらの税金を差し引いた後、GmbHの手元には68,775 ユーロが残ります。

            2. 株主レベルでの税負担

              A は、GmbH の純利益 68,775 ユーロを直接利用することはできません。なぜなら、その利益はまず A に分配されなければならないからです。GmbH が 68,775 ユーロを分配すると、A には資本資産からの収入が発生します(所得税法(EStG)第 20 条第 1 項第 1 号)。課税の基準となるのは、25% の定額源泉徴収税率(所得税法(EStG)第 43 条第 1 項第 1 号および第 43a 条第 1 項第 1 号)です。この 25% に 5.5% の連帯税が加算されるため、実際の税負担は 26.375% となります。

              しかし、A はこの税金を直接支払う必要はありません。なぜなら、GmbH は、所得税法(EStG)第 44 条第 1 項に基づき、配当金から税金を差し引き、税務署に納付する義務があるからです。したがって、GmbH が 68,775 ユーロの純利益を A に分配した場合、源泉徴収後にA の口座への入金される金額は50,635.60 ユーロ(68,775 ユーロ – 26.375%)となります。

              重要:

              18,139.40 ユーロの源泉徴収税により、税務署の課税権は清算されます(所得税法(EStG)第 43 条第 5 項)。したがって、Aはこの収入を個人の所得税の申告書で申告する必要はありません。

              Aは、GmbHの25%以上の株式を保有しているため、所得税法(EStG)第32d条第2項第3号に基づく申請により、25%の定額源泉徴収税と追加の連帯税を免除される可能性があります。そのメリットは、利益分配の40%(27,510ユーロ) が非課税となることです(所得税法§3Nr.40Buchst.d i. V.m.S.2)。ただし、残りの 60% (41,265 ユーロ) は、通常の所得税率42%に5.5%の追加税が課せられます。これにより生じる税負担(連帯税を含む)は18,284.52ユーロとなり、定額税負担 18,139.40 ユーロを上回るため、この申請は不利となります。

              3. 無利息での貸し付けによる結果

                このように無利息での貸し付けの場合は、税負担の総額は49,364.40 ユーロとなります。Aは、税引き後50,635.60ユーロを利用できることになります。

                シナリオ 2:年率3%の金利で貸し付ける場合

                「ローンに金利が適用されるシナリオ」では、以下の税務上の結果が生じます。

                1. GmbH レベルでの税負担

                  利息の支払いが合意されている場合、その利息は、市場水準の利率である限り、GmbH レベルでは事業費となります。一方、市場水準の利率を上回る利息は、隠れた利益分配とみなされ、GmbH の税務上の損金とはなりません(KStG 第 8 条第 3 項第 2 文)。この例では、3% の金利は妥当な水準だと考えられるため、融資額は 100,000 ユーロに対する年間利息3,000ユーロは損金となります。

                  これにより、GmbH の所得は 97,000 ユーロに減少します。法人税(15%)と追加税(法人税の 5.5%)は 15,350.25 ユーロになります。さらに、15.40% の事業税(14,938 ユーロ)も課せられるため、すべての税金を差し引いた後、GmbH に残る資金は66,711.75 ユーロとなります。

                  2. 株主レベルでの税負担

                    66,711.75 ユーロがAに分配される場合、GmbH はその25%の源泉徴収税(16,677.93ユーロ)と 5.5%の追加税(917.28 ユーロ)を源泉徴収しなければなりません。したがって、Aの口座には 49,116.54ユーロが入金されます。利息のない最初の例と比較すると、1,519.06 ユーロ少なくなります。

                    さらに、会社が支払った利息も加わります。これは、A にとって資本資産からの収入となります(所得税法(EStG)第 20 条第 1 項第 7 号)。GmbHは(銀行などではないため)税金の源泉徴収義務を負わないため、Aはこの利息を個人の所得税申告書で申告しなければなりません(所得税法(EStG)第 32d 条第 3 項)。税額決定の枠組みでは、原則として、25% の定額源泉徴収税と追加の連帯税(所得税法(EStG)第 32d 条第 1 項)が課税されます。しかし、A は GmbH の株式を10%以上保有しているため、所得税法(EStG)第 32d 条第 2 項第 1 号 b の特別規定が適用されます。結果:この利息は、有利な源泉徴収税の対象ではなく、限界税率による所得税の対象となります。Aの場合、42%に5.5%の追加税が加算されるため、税負担は1,329.30ユーロとなります。税金を差し引いた後、Aが受け取る利息は1,670.70ユーロとなります。

                    3. 3. 3% のローン金利の場合の結果

                      3%の金利で合意した場合、Aは合計50,787.24ユーロ(49,116.54 + 1,670.70ユーロ)を純額で受け取ります。これは、金利がない場合と比較して151.64ユーロのメリットとなります。

                      3. 給与所得税の源泉徴収:2026年1月1日以降の社会保険控除(Vorsorgepauschale)の新制度

                      2026年1月1日以降、毎月の給与所得税の源泉徴収額の計算で考慮される「社会保険控除(Vorsorgepauschale)」に関する税制ルールが大きく変更されました。ここでは、何が新しくなったのか、また2026年の社会保険控除がどのように算出されるのかについて、重要なポイントをまとめます。

                      社会保険控除(Vorsorgepauschale)の基本

                      毎月の給与から源泉徴収される税額を計算する際には、社会保険控除が考慮されます。これは、健康保険・介護保険・年金保険(さらに2026年以降は、場合によって失業保険の一部も含む)への保険料が、所得税申告時の特別控除として後から税務上反映されるのではなく、年間を通じて源泉徴収の段階ですでに税務上考慮されるようにするためです(所得税法 §39 第2項第5文第3号)。

                      2026年1月1日からの新制度:主な変更点

                      2025年8月14日付の連邦財務省(BMF)の通達(IV C 5 – S 2367/00012/004/033)により、社会保険控除の算定方法が改定されました。給与所得税の観点では、以下が適用されます:

                      • 2026年1月1日以降、「最低社会保険控除」は廃止されました。
                        (2025年末までは給与の12%、最大1,900ユーロまたは3,000ユーロ)。
                      • 2026年以降、社会保険控除には、月額給与に基づいて計算された法定保険料のみが含まれます。
                      • 新たに、失業保険料の一部も社会保険控除に含まれるようになりました(詳細は後述)。
                      • 民間の健康保険および介護保険については、保険会社が連邦中央税務局(BZSt)へ電子的に報告し、ELStAM経由で取得可能な保険料のみが社会保険控除の対象となります。

                      ※注意:2026年1月1日からの新制度には複数の目的があります。


                      一つは、社会保険控除をより正確で公平なものにすること。もう一つは、保険料支払いの電子的報告を義務化することで、税務行政のデジタル化を推進することです。

                      失業保険料の一部の算入

                      前述のとおり、2026年1月1日以降は、労働者が実際に支払った場合、失業保険料の一部も社会保険控除に含まれるようになりました。

                      ただし、税クラスI~Vでは、健康保険および介護保険料が年間1,900ユーロ未満の場合にのみ考慮されます。年間1,900ユーロに達するまでは、失業保険料も社会保険控除に算入されます。

                      結論

                      実際の保険料支払いに基づいて社会保険控除を再計算することにより、2026年1月1日以降、納税者にはさまざまな影響が生じる可能性があります。

                      • これまで(自分にとって過大だった)最低社会保険控除の恩恵を受けていた低所得者は、2026年以降、手取り給与が減少する可能性があります。
                      • 一方、保険料が高額な高所得者の場合、従来の最低社会保険控除が実際の支払いに比べて低かった場合には、2026年に手取り給与が増える可能性があります。

                      4. 社内イベントにおける給与税の一括課税(パウシャル課税):2026年からすべてが新しくなる?

                      BFH(ドイツ連邦財政裁判所)が認めた取り扱いは、立法者によって再び制限されることになりました。2024年、BFHは、管理職など特定の参加者のみを対象とした社内イベントでも給与税の一括課税が可能であると判断しました。しかし、この納税者に有利な判例は、2026年からの法改正によって再び制限されることになりました。

                      社内イベントへの参加は給与所得になる

                      企業レベルで行われる社交的性格を持つイベント(例:社員旅行、記念式典、夏祭り、クリスマスパーティーなど)は「社内イベント(Betriebsveranstaltung)」に該当します。

                      このようなイベントに参加した場合、その参加による利益は原則として所得課税および社会保険料の対象となる給与所得に含まれます(所得税法 §19 第1項1a号)。

                      ただし例外として、イベントへの参加が職務遂行の一環である場合(例:人事責任者や労働者代表として複数部署のイベントに出席する場合)は、給与所得とはみなされません。

                      救済措置:従業員1人あたり110ユーロの非課税枠

                      社内イベントによる利益が必ずしも課税対象になるわけではありません。所得税法 §19 第1項1a号第3文では、1回のイベントにつき110ユーロまでの利益は所得とみなされないとされています。

                      この110ユーロは「非課税枠(Freibetrag)」であり、「限度額(Freigrenze)」ではありません。非課税枠の適用には以下の条件があります:

                      • 社内イベントへの参加が全従業員に開かれていること。
                        つまり、雇用主は全従業員を招待する必要があります。特定の一部のみ招待した場合、原則として非課税枠は適用されません。
                      • ただし、参加者の制限が特定グループの優遇とみなされない場合は例外があります。
                        例:特定部署のみ、退職者全員、一定の勤続年数を達成した従業員など。
                      • 非課税枠は年間最大2回までの社内イベントに適用されます。
                        3回以上参加した場合、どの2回に適用するかを選択できます。

                      一括課税(パウシャル課税)による従業員負担の回避

                      社内イベントによる利益が110ユーロを超える場合、または年間3回以上イベントに参加した場合、超過分または追加イベントは課税対象となります。通常は個人の税率に基づき、税金だけでなく社会保険料も発生します。

                      しかし、雇用主が所得税法 §40 第2項第1文第2号に基づき25%の一括課税を適用すれば、従業員の負担を回避できます。この場合:

                      • 源泉徴収の手続きが簡素化される
                      • 雇用主・従業員双方の社会保険料が不要になる

                      限定的(エクスクルーシブ)イベントにも一括課税は可能?

                      従来、税務当局は「社内イベント」とは、企業または部署の全員に参加機会があるイベントを意味すると解釈していました。そのため、個別に選ばれた参加者だけのイベントは社内イベントとみなされず、

                      • 110ユーロの非課税枠
                      • 有利な一括課税

                      いずれも適用されませんでした。

                      しかし2024年、BFHはこの解釈を変更しました(判決:2024年3月27日、VI R 5/22)。法律上の定義が参加者範囲に依存しないため:

                      • 非課税枠(110ユーロ)は参加対象が全従業員であることが条件
                      • 一括課税はイベントが社内イベントであれば参加者範囲は問わない

                      と判断しました。

                      実務上のポイント:
                      この判例により、2015年以降は、取締役や管理職のみが参加する限定的なクリスマスパーティーでも、一括課税は適用可能(ただし非課税枠は不可)となりました。

                      立法者が限定イベントの優遇を撤廃

                      BFH判決により、特定参加者のみのイベントにも税務上の優遇が認められるようになったことは、立法者にとって問題視されました(憲法第3条の平等原則との関係も考慮)。

                      そのため、2025年税制改正により、2026年から以下のように変更されました:

                      雇用主が25%の一括課税を適用できるのは、「社内イベントへの参加が企業または部署の全従業員に開かれている場合」に限定されます。

                      まとめと実務上のアドバイス

                      今回の法改正により、社内イベントにおける一括課税は2015年以前と同様、全従業員に開かれたイベントのみが対象となり、従業員間の公平性が強化されました。

                      ただし重要な点として:

                      • BFH判例は完全に無効になったわけではありません。
                      • 新ルールは2026年1月1日から適用されます。
                      • したがって2015年~2025年の課税期間については、限定イベントでも一括課税を適用可能です。

                      特に過去年度の税務調査や、2025年12月に管理職限定で実施されたクリスマスパーティーなどでは、この扱いを利用できます。

                      免責事項:当サイトに掲載された情報は情報提供のみを目的としたものであり、その内容について何ら法的保証をするものではありません。この情報はあくまで参考であり、適用される法律の改正や変更があった場合には変更される事になります。出来る限り正確な情報の掲載に努めて参りますが、必ずしも安全性・信頼性・正確性などを保証するものではなく、本記事の省略および誤りにより引き起こされる損害等について、当社は一切の責任を負いかねます

                      ドイツ税務のアップデート2025年12月

                      1. 税務申告:2026年が目前 ― 2021年分の所得税の還付申告は今すぐ提出を
                      2. 電子請求書(Eインボイス)対応に関する新たなBMF通達案の概要
                      3. 中小企業向けの特別償却制度
                      4. 法人税・事業税における最低税負担制度は合憲
                      5. GmbH持分売却後も取締役として勤務する場合の課税関係


                      1. 税務申告:2026年が目前 ― 2021年分の任意申告は今すぐ提出を

                      つい最近2025年が始まったばかりのように感じますが、気がつけば年末が目前に迫っています。

                      2021年分について申告義務がなく、かつ任意の税務申告も行っていない方は、早急に対応する必要があります。というのも、2021年分の税金還付は、2025年12月31日までに税務署へ申告書を提出しなければ失われてしまうからです。

                      この期限を過ぎてから、所得税法(EStG)第32d条第6項に基づく有利判定(Günstigerprüfung)を申請しても、残念ながら還付を受けることはできません。この点については、最近、連邦財政裁判所(BFH)も納税者側の主張を退けています。

                      任意申告における確定期限(時効)

                      税務署が税額を確定できるのは、**確定期限(Festsetzungsfrist)**がまだ経過していない場合に限られます。確定期限が過ぎると、税金を徴収する権利そのものが消滅するためです(租税通則法[AO]第47条)。

                      そのため、確定期限後に発行された課税通知は**違法(ただし無効ではありません)**となり、期限内に異議申立てを行えば争うことが可能です。

                      AO第169条第2項第2号により、確定期限は4年間と定められています。また、AO第170条第1項により、原則として税金が発生した年の年末から起算されます。

                      このため、2021年分の所得税は2025年12月31日をもって時効となります。

                      なお、課税通知書(またはAO第122a条に基づく電子通知)が、期限内に税務署から発送されていれば足りる点に注意が必要です(AO第169条第1項第1号)。

                      重要

                      12月31日が土日である場合、期限は自動的に次の平日に繰り延べられます(AO第108条第3項)。1月1日は祝日であるため、実際の期限は翌年1月2日となります。

                      例1

                      12月31日の終了と同時に時効が成立します。税務署は12月30日に課税通知を郵送し、納税者マリーは翌年になってそれを受け取りました。

                      結論
                      この場合、マリーに対する課税通知は有効です。実際に通知が届いた日が12月31日以降であっても問題にはなりません。

                      仮に通知が到達しなかった場合には、有効な行政処分は成立しませんが、その場合でも、税務署は翌年に新たな課税通知を出すことはできません。すでに時効が成立しているからです。

                      このような事情から、税務署は時効成立直前には、配達証明付き郵便(PZU)で通知を送付することが多くなっています。

                      期限直前に提出した税務申告の扱い

                      任意申告によって税金の還付を見込んでいる場合、確定期限を常に意識しておく必要があります。
                      2021年分の申告をまだ行っていない場合、還付請求権は2025年12月31日で時効となるため、早めの対応が不可欠です。

                      では、2025年12月31日当日に申告書を提出した場合はどうなるでしょうか。税務署が同日に課税通知を出すことは現実的に不可能です。この場合、時効が成立してしまうのでしょうか。

                      答えは「No」です。

                      AO第171条第3項など、確定期限の進行を停止させる規定が存在します。同条では次のように定められています。

                      「確定期限の満了前に課税申請がなされた場合、その申請については、異議を申し立てることができない状態で決定が下されるまで、確定期限は経過しない。」

                      つまり、2021年分の申告書を期限内に任意で提出した場合、それは課税申請とみなされ、税務署が課税通知を発行し、その通知が確定するまで時効は成立しません。

                      通常、異議申立期間が終了した時点で通知は確定します(異議申立てを行わなかった場合)。

                      例2

                      マリーは2025年12月20日に、2021年分の所得税申告書を任意で提出しました。見込まれる還付額は500ユーロです。

                      結論
                      期限内に申告しているため、AO第171条第3項による時効停止が適用されます。

                      その結果、税務署は2026年以降であっても課税通知を発行しなければならず、時効を理由に拒否することはできません。

                      一方、2026年1月1日以降に提出していた場合には、2021年分はすでに時効となってしまいます。

                      救済策となる「申告義務」の存在

                      任意申告ではなく、申告義務がある場合には、確定期限の計算方法が大きく異なります。申告義務が生じるのは、たとえば次のような場合です。

                      • 利益所得、または源泉徴収されていないその他の所得が410ユーロを超える場合(例:賃貸収入)
                      • 配偶者の税区分がIII/VまたはV/IIIである場合
                      • 進行税率対象所得(Progressionseinkünfte)が410ユーロを超える場合
                        (AO第149条第1項、EStG第25条第3・4項、第48条)

                      重要
                      申告義務がある場合、AO第170条第2項第1号により、確定期限は課税年度の年末ではなく、申告書を提出した年の年末から起算されます。

                      さらに、申告書を提出しなかった場合には、原則として確定期限は開始しません。その結果、税務署は何年経っても初回の課税通知を発行できてしまいます。

                      この不都合を防ぐため、同条では、遅くとも税金発生年の3年後の年末からは確定期限が開始すると定めています。

                      例3

                      マリーは2021年に25,000ユーロの事業所得があり、申告義務がありました。申告書は2023年に提出しました。

                      結論
                      所得税は2021年12月31日に発生していますが、申告義務があったため、確定期限は2023年12月31日から開始します。

                      その結果、時効は2027年12月31日に成立します。

                      別のケース

                      マリーは、2021年分の申告書を現在まで提出していません。

                      結論
                      確定期限は、税金発生年の3年後である2024年12月31日から開始します。

                      そのため、時効は2028年12月31日に成立します。

                      任意申告と有利判定申請(§32d EStG)は救済となるか

                      追加所得の少ない会社員は、多くの場合、申告義務がありません。そのため、2021年分については2025年12月31日で時効となります。

                      もっとも、多くの会社員は利息や配当などの資本所得を得ています。これらは通常、25%の源泉分離課税(Abgeltungsteuer)が適用され、源泉徴収により課税関係は完結します。

                      しかし、§32d第6項EStGに基づく有利判定申請を行うことで、総合課税の方が有利となり、税負担が軽減される場合があります。

                      また、§32d第4項EStGに基づく源泉徴収額の見直し申請も、貯蓄者控除が十分に考慮されていない場合や、外国税額控除が可能な場合には有効です。

                      ここで問題となるのは、有利判定申請だけで申告義務が発生し、確定期限の起算点が延長されるのかという点です。もしそうであれば、2021年分の確定期限は2028年12月31日となり、2025年以降でも申告が可能になります。

                      この点について、BFHは最近、税務当局の立場を支持する判断を下しました。

                      すなわち、確定期限経過後に申告書とともに提出された有利判定申請には、確定期限の開始を遅らせる効果はないと判断しています
                      (BFH判決:2025年5月14日、VI R 17/23)。

                      ただし、前向きな点もあります。

                      源泉徴収されていない課税所得の合計が410ユーロを超える場合には、AO第170条第2項第1号が適用されることをBFHは明確にしました。

                      これには、たとえば私的貸付による利息など、資本所得税が課されていない資本所得も含まれます。

                      例4

                      2021年分は原則として2025年12月31日に時効となります。

                      マリーは2026年になってから申告書を提出し、給与所得に加えて、私的貸付による利息500ユーロを申告しました。

                      結論
                      利息収入が410ユーロを超えているため、申告義務が生じます。

                      確定期限は2025年ではなく、2028年12月31日まで延長されます。

                      そのため、2026年に提出された申告書も有効であり、課税通知および還付を受けることができます。

                      まとめ

                      2021年分について申告義務がなく、かつまだ任意申告を行っていない場合は、還付の可能性があるかどうかを必ず確認すべきです。特に次のような場合には、還付が生じることが多くあります。

                      • 必要経費(広告費)が1,230ユーロを超えている場合
                      • 職人サービスや家事関連サービスの税額控除を申請できる場合(§35a EStG)
                      • 2021年中に転職した、または初めて就職した場合
                      • 資本所得に対して銀行が源泉徴収した税金が、有利判定(§32d第6項EStG)により軽減できる場合

                      還付が見込まれるのであれば、2021年分の申告は一刻も早く提出してください。

                      そうしなければ、年末をもって還付請求権は時効により失われてしまいます。


                      2. 電子請求書(Eインボイス)対応に関する新たなBMF通達案の概要

                      電子請求書(Eインボイス)対応に関する新たなBMF通達案の概要

                      2025年1月1日から、経過措置を伴いながら、ドイツ国内の企業間取引(B2B)では電子請求書(Eインボイス)の使用が原則義務化されました。これに関する最初のBMF通達は2024年10月15日に公表されており、今回、その続編となる第2のBMF通達案が2025年6月25日に公表されました。

                      通達案のポイント

                      この通達案は、主に既存の付加価値税適用通達(UStAE)を、2024年10月のBMF通達内容に整合させることを目的としています。あわせて、実務上の細かな論点の整理や対応上の注意点も示されています。

                      ただし、本案は変更点のみを列挙した内容であるため、単独では理解が難しく、両BMF通達とUStAEを突き合わせて読む必要があります。

                      適用範囲と主な例外

                      電子請求書の義務は、通常の請求書だけでなく、自己請求方式(クレジットノート)や、リバースチャージ取引、農林業の平均税率課税、旅行業、差額課税取引などにも及びます。

                      請求書の受領者が小規模事業者や非課税事業者であっても、原則として義務は免れません。

                      一方で、250ユーロ以下の少額請求書、小規模事業者の請求書、旅客輸送の乗車券については、従来どおり電子請求書以外の形式も認められています。

                      実務上の重要ポイント

                      • 役務内容の記載
                        電子請求書の構造化データ部分だけで、提供内容が明確に確認できる必要があります。補足資料をPDFなどで添付することは可能ですが、リンクのみの記載は不可とされています。
                      • 請求書の訂正
                        電子請求書の訂正は、原則として同じく電子請求書の形式で行う必要があります。
                      • 保存義務
                        電子請求書は8年間保存が必要で、特に構造化データ部分は改変されない形で保存しなければなりません。ただし、GoBD対応システム外での保存であっても、直ちに違反とはされません。
                      • バリデーション(検証)の重視
                        必須記載事項が構造化データに正しく含まれていない場合、電子請求書ではあっても「適正な請求書」とは認められない点が強調されています。

                      今後の予定と評価

                      本通達案は、2025年夏にかけて業界団体から意見募集が行われ、最終版は2025年第4四半期に公表予定です。また、2025年7月にはGoBDも電子請求書対応に改正されています。

                      EU全体では、付加価値税制度のデジタル化は本来2030年代に本格化する予定でしたが、ドイツはこれを前倒しで導入しました。その結果、制度開始後も解釈が定まらない状況が続いている点については、実務上の混乱を招いているとの批判もあります。


                      3. 中小企業向けの特別償却制度

                      ― 税務上のメリットを上手に活用する ―

                      特別償却制度は、中小企業の投資を後押しするための税制優遇措置です。通常の償却に加えて追加償却を行うことで、課税所得が減少し、結果として税負担の繰延べ効果が得られます。以下では、§7g第5項EStGに基づく特別償却の主な要件と活用方法を整理します。

                      特別償却の対象と要件

                      通常、減価償却の対象となる**有形の減価償却資産(固定資産)**は、耐用年数に応じて定額法または定率法で償却します。これとは別に、一定の要件を満たす場合には、追加で特別償却を行うことが可能です。

                      主な要件は以下のとおりです。

                      • 資産を取得または製造した年の前年度の利益が20万ユーロ以下であること
                      • 当該資産が、取得・製造年度およびその翌年度において、
                        国内の事業所で専ら又はほぼ専ら事業用として使用されること
                        (または賃貸されること)

                      償却額と柔軟な配分

                      特別償却額は、取得原価または製造原価の最大40%まで認められます。
                      大きな特徴は、この40%を取得・製造年度からその後4年間の計5年間に、自由に配分できる点です。

                      • 毎年必ず償却する必要はありません
                      • 40%の上限をすべて使い切る必要もありません

                      実務上のポイント

                      利益が多い年度に重点的に特別償却を行うことで、税負担の繰延べ効果を最大化できます。年度ごとの利益状況を踏まえた計画的な活用が重要です。

                      注意点

                      資産全体としては、償却できる総額は一度限りです。そのため、特別償却を行うと、将来の通常償却額はその分減少します。

                      • 定率法の場合
                        特別償却により帳簿価額が下がるため、翌年以降の償却額は自動的に減少します。
                      • 定額法の場合
                        優遇期間(5年)が終了した6年目以降に、残存簿価を残存耐用年数で再計算する必要があります(§7a第9項EStG)。

                      4. 法人税・事業税における最低税負担制度は合憲

                      ― 破産により損失が使えなくなる場合でも ―

                      連邦憲法裁判所は、法人税および事業税における最低税負担制度(最低利益課税)について、憲法に適合するとの判断を示しました。これは、破産手続や法人の清算により繰越欠損金を将来利用できなくなる場合であっても同様です。

                      制度の背景

                      法人税では、繰越欠損金の利用に期間制限はありませんが、金額には上限があります。

                      • 各課税年度において、総所得1,000,000ユーロまでは全額控除可能
                      • これを超える部分については、超過額の60%までしか控除できません
                        (※2024~2027年の課税年度に限り、70%に引き上げ)

                      この制度は、法人税法§8第1項と所得税法§10d第2項に基づくものです。

                      事業税についても同様の最低課税制度があり、こちらは70%への一時的引上げはありません。

                      この結果、多額の繰越欠損金があっても、一定額の所得は課税対象として残る仕組みとなっています。

                      争点と審査の経緯

                      連邦財政裁判所(BFH)は、破産や清算により欠損金の相殺機会が完全に失われる場合にも、この最低課税が認められるのかに疑問を呈し、問題を連邦憲法裁判所に付託しました。

                      本件では、破産手続を経て解散したGmbHにおいて、繰越欠損金を最終的に使い切れなかったケースが対象となりました。これはいわゆる「欠損金の確定的消滅(デフィニティブ効果)」と呼ばれます。

                      連邦憲法裁判所の判断

                      裁判所は、所得課税は原則として納税者の担税力に応じて行われるべきであるとしつつも、
                      繰越欠損金が失われた結果、実質的に担税力に反する「実体課税」に近い状況が生じ得ること自体は認めました。

                      しかしながら、このような結果であっても、

                      • 国家の正当な財政目的
                      • 立法者に認められた一定の類型化・簡素化の裁量

                      を踏まえれば、制度は恣意的とはいえず、合憲であると判断しました。

                      まとめ

                      今回の決定により、最低利益課税は、破産や清算により損失が確定的に失われる場合でも有効であることが明確になりました。

                      したがって、欠損金が使えなくなること自体を理由に、最低課税制度を憲法違反として争うことは困難といえます。


                      5. GmbH持分売却後も取締役として勤務する場合の課税関係

                      ― 売却益か給与所得か、BFHの判断が注目される ―

                      ドイツでは、GmbHの(共同)オーナーが会社の持分を売却した後も、一定期間、契約に基づいて取締役(Geschäftsführer)として会社に残るケースが広く見られます。このような取引では、売却代金の一部が将来の取締役業務の継続に条件付けられることがありますが、その場合、当該金額を税務上どのように扱うべきかが重要な論点となります。

                      具体的には、

                      • **持分売却による譲渡益(§17 EStG)**として課税されるのか
                      • それとも**取締役としての労務提供に対する給与所得(§19 EStG)**として課税されるのか

                      という点が問題となります。前者であれば税負担が相対的に軽くなる一方、後者に該当すると個人の高い限界税率が適用されるため、実務への影響は小さくありません。

                      この点について、現在、連邦財政裁判所(BFH)で審理が進められており、その判断が注目されています。これに先立ち、第一審にあたるケルン財務裁判所(FG Köln)は、給与所得に該当すると判断しました。

                      事案の概要

                      問題となった事案では、GmbHのオーナーが共同出資者とともに、自身の50%持分を第三者に売却しました。売却代金は、次の2つの要素から構成されていました。

                      • 持分譲渡と引き換えに確定的に支払われる固定額
                      • 両売主が少なくとも5年間、取締役として勤務することを条件に支払われる条件付金額

                      この条件付金額については、取締役を期間満了前に退任した場合、すでに受領した金額を返還する義務が明確に定められていました。

                      税務当局と納税者の見解

                      税務当局は、この条件付金額について、持分の売却そのものに対する対価ではなく、取締役として会社にとどまり業務を行うことへの報酬であると評価しました。そのため、この金額は給与所得として課税されるべきであり、結果として高い限界税率が適用されると判断しました。

                      これに対し、売主である元オーナーは、当該金額も持分売却と一体の対価であり、所得税法第17条(§17 EStG)に基づく持分譲渡益として扱うべきだと主張しました。

                      ケルン財務裁判所の判断

                      FG Kölnは、税務当局の見解を支持しました。裁判所は、問題となった金額が、

                      • 法的にも実質的にも取締役業務の継続と密接に結び付けられていたこと
                      • 取締役を途中で辞任した場合には、返還義務が課されていたこと

                      を重視しています。これらの事情から、当該金額の対価は持分譲渡ではなく、取締役としての労務提供にあると評価するのが相当であり、給与所得として課税すべきであると判断しました(FG Köln、2024年12月4日判決、12 K 1271/23)。

                      BFHでの審理と実務上の対応

                      本判決に対し、売主は不服としてBFHに上告しており、事件番号はIX R 1/25です。今後、BFHが「持分売却の対価」と「役務提供に対する報酬」との線引きについて、どのような基準を示すのかが注目されます。

                      本件と類似した取引についてすでに課税を受けている場合には、

                      • 税務処分に対して異議申立てを行い
                      • 本BFH係属事件を根拠として
                      • 税務通則法§363第2項第2文AOに基づき、**手続の停止(Ruhen des Verfahrens)**を求めるといった対応を検討する余地があります。

                      BFHの判断が出るまでの間、慎重な対応が求められるテーマといえるでしょう。


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                      修正「中小企業の会計に関する指針」の公表

                      日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、修正「中小企業の会計に関する指針」(以下「修正中小会計指針」という。)を公表しました。

                      (さらに…)

                      UAEの経済的実体(Economic Substance): 日本の外国子会社合算税制(CFC)対応のポイント

                      UAEに所在するまたは、同地に設立予定の海外子会社は、「経済的実体要件(Economic Substance Requirements)」を満たす必要があります。

                      これは、日本の親会社がUAE子会社を通じて得た所得に対してタックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)の適用除外要件を満たしていることを証明するためです。

                      なぜ重要なのか?

                      UAE子会社で得た所得が日本の親会社の所得に合算され、日本の税率で課税されることを避けるためには、UAE法人がUAE国内で「実質的な経済活動」を行っていることを証明する必要があります。

                      単に「ペーパーカンパニーではない」「受動的所得を得ていない」と主張するだけでは不十分です。

                      UAEで実体ある経済活動を行っていることを示すことで、日本のタックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制/CFCルール)が適用されないことを主張できます。

                      ※事業所得以外の受動的所得は、CFC(外国子会社合算税制)の対象となる可能性があります。

                      日本のCFCルールにおけるUAEでの経済活動テストの4つの要件 (すべてを満たす必要があります)

                      • 事業基準

                      子会社の主たる事業は、製造業や販売業などの「実際の事業活動」でなければなりません。

                      単に株式や債券の保有、知的財産のライセンス供与、船舶・航空機の貸付など、受動的所得を得る活動のみではないこと。

                      • 実態基準

                      子会社は、主要な事業を行うために必要な固定施設(オフィス、店舗、工場など)をUAE国内に有している必要があります。自社所有でも賃貸でも構いません。

                      • 管理支配基準

                      子会社は、独立して事業を運営していることが求められます。

                      たとえば、取締役会や株主総会をUAE国内で開催する、現地の取締役が経営上の意思決定を行い、会計処理も現地で行っていることです。

                      (※全体として、「形式上の存在ではなく、実際にUAEで事業を管理していること」を示すことが重要です。)

                      • 所在地国基準または非関連者基準
                        • 卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、海運業、航空運送業、リース業などの一部の業種では、「非関連者取引要件」が適用されます。これは、取引総額の50%超が第三者との取引である必要があるというものです。
                      • それ以外の業種では、「所在地基準」が適用され、子会社の主要な事業活動がその所在地(UAE)で実際に行われていることが求められます。

                      HLS-Global UAEとHLS-Global Japanのサポート内容

                      • HLS-Global UAE

                      商業契約書、取締役会議事録、株主名簿、法定台帳などの作成および管理を支援し、UAE法人が実質的な経済的実体を有していることを裏付けるサポートを提供します。

                      • HLS Global Japan

                      日本側では、タックスヘイブン対策税制への対応を支援します。

                      税制の内容説明、現状分析、潜在的なリスクの特定などを通じて、CFC対応に関するアドバイザリーサービスを提供します。

                      日本での税務ポジションを確実に守る準備はできていますか?

                      UAEでの経済的実体を証明するための、最適なコンプライアンスプランと必要書類チェックリストについては、HLS-Global UAEまでお気軽にお問い合わせください。


                      免責事項:本記事の内容は情報提供のみを目的としており、法的助言として解釈されるものではありません。掲載情報は参考用であり、関連法令等の改正により変更される可能性があります。本記事の内容に誤りや脱漏があっても、当社は一切の責任を負いかねます。また、記載情報の完全性・信頼性・正確性についていかなる保証も行いません。

                      HLSグローバル、シンガポールへ進出のお知らせ

                      2025年10月1日

                      HLSグローバル、シンガポールへ進出のお知らせ

                      日本、東京/シンガポール

                      国際会計、税務、ビジネスアドバイザリーのリーディングカンパニーである HLS Global Co., Ltd.(以下、HLS グローバル) は、シンガポールに子会社 HLS GLOBAL SEA PTE. LTD.(以下、HLS SG) を設立し、グローバル進出による規模拡大を発表いたします。HLS SG の設立は、同地域の日系および多国籍企業に卓越したサービスを提供するという当事務所のコミットメントにおける重要なマイルストーンとなります。

                      新たに設立される事務所は、会計、監査、税務、デューデリジェンス、M&A後の統合支援、ESGアドバイザリー、CFOサービス、財務デジタルトランスフォーメーションなど、幅広いサービスにおける専門知識の提供に重点を置きます。この戦略的拡大は、シンガポールにおける既存および新規の日系(および多国籍)企業を支援し、東南アジアを拠点とする企業のグローバルな事業展開を促進します。

                      (さらに…)

                      ドイツ税務のアップデート2025年9月

                      1. 貸借対照表に計上された未払貸付金利息の支配株主への帰属時期
                      2. 現金管理に不備がある場合の推計課税に関する税務当局の権限
                      3. E-車両に関する総額リスト価格と減価償却の税制改正
                      4. 自営業と雇用の間の曖昧な境界線

                      1. 貸借対照表に計上された未払貸付金利息の支配株主への帰属時期

                      単独または支配的な立場にある株主は、自身の会社に対する債権が支払期日に到達した時点で、たとえ実際に支払われていなくても、その債権を受け取ったものとみなされます。これは、支配株主であれば通常、自分に対する支払いのタイミングを自ら決定できる立場にあるためです。

                      事案の概要


                      本事案では、有限会社(GmbH)の支配株主が、会社の経済的困難により実際には支払いを受けていないにもかかわらず、会社に対する支払期日到来済の債権を「受領した」とみなすことができるかどうかが争点となりました。

                      判決の内容

                      財務裁判所(FG)は、支配株主は、会社に対する債権が支払期日を迎えた時点で既に受領したものとみなされると判断しました。この「みなし受領」の原則は、少なくとも債権が明確で、争いがなく、支払期日を迎えており、かつ支払能力のある会社に対するものである場合には適用されます。

                      この場合の「会社の支払不能」とは、資金不足に基づく恒常的な金銭債務の履行不能状態のみを指します。通常、会社が「崩壊」する前、すなわち破産手続開始の申立てがされていない限りは、支払不能とは認められません。

                      たとえ会社が経済的困難に直面していたとしても、支配株主が劣後条項付きの金銭貸付けを行い、合意された利息が会社の会計上は負債として計上されている一方で、数年間支払われていない場合でも、その利息は株主に受領されたものとみなされます。

                      これは、会社が他の債権者に対しての支払い義務を履行しており、破産申立てもされていないような状況であれば適用されます。

                      また、利息の支払期日は、劣後条項の存在によって変更されるものではありません。劣後条項に、支払期日を遅らせる「支払猶予の合意」が含まれていない限り、利息は当初の契約どおりの期日に支払期日を迎えます。

                      劣後条項の効力は、破産法上の支払期日(ドイツ破産法 §17(2) 1項)にのみ影響を与えるものであり、民法上の支払期日(BGB §271)とは異なります。

                      民法上の「支払期日」とは、債権者が支払いを請求できるようになり、債務者が遅れていれば遅延損害金が発生したり、時効が進み始めるタイミングを指します。

                      一方、破産法上の「支払期日」とは、個別の債権回収から、破産手続などの全体的な債権回収に移行する判断の基準となる時点を意味します。

                      劣後条項(他の債権者への支払いが優先されるという合意)は、会社が本当に破産状態にある場合に初めて効力を発揮します。それまでは、支払期日そのものや請求権の発生には影響を与えません。

                      1. 現金管理に不備がある場合の推計課税に関する税務当局の権限

                      本事案は現金取引の多いスナックバーを経営している納税者に対して税務調査が行われ、納税者の現金管理に不備があると指摘された事案です。

                      シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州の財務裁判所(2023年8月28日付、3 K 25/22号。上訴中:連邦財務裁判所BFH X R 27/24)の判断は下記のとおりです。

                      電子レジの操作が不正に行える可能性があることを考えると、そのレジに関する組織的な資料やプログラム仕様書などが整備されていない場合、それだけで重大な不備と見做されます。このような不備があると、税務当局は納税額を推計で決定することが認められるというのが裁判所の判断です。

                      また、税務署が定率(標準的な割合)を用いて課税額を算定したことについても、裁判所は妥当だと判断しました。連邦財務裁判所がこの方法に疑問や懸念を示していたとしても、公式な定率表を用いて同業他社と比較する推計手法は、依然として広く認められていると述べられました。

                      推計に対する異議申し立ては、税務調査の防御における“日常業務”

                      実務的なアドバイス:

                      今回の判決は、税務調査に対する納税者へのアドバイスにおいて非常に重要です。税務調査では、税務署による推計の権限や、その根拠となる手法について対処することが、税理士の基本業務の一つとなっています。

                      上訴審(事件番号X R 19/21)では、連邦財務裁判所(BFH)は、公式な基準に基づく金額の推計には依然として様々な不明確さがあると明確に述べています。このことは、定率による推計が完全に否定されるという意味ではありませんが、推計額を減らせる可能性があることを意味します。

                      また、直近の2024年10月4日の判決(X B 105/23)では、推計の不確実性を踏まえて、連邦財務裁判所が上訴を認めている事案も出てきています。

                      1. E-車両に関する総額リスト価格と減価償却の税制改正

                      連邦参議院は2025年7月11日、「ドイツ経済拠点強化のための投資即時プログラムに関する法律」(取得番号249194)に同意しました。これにより、CO2排出のない自動車(例:純粋な電気自動車や水素車)の税務上の取り扱いが変更されます。具体的には総額リスト価格と減価償却の扱いが変わります。

                      従業員への貸与に伴う金銭的利益(インカインド)

                      雇用主が従業員にCO2排出のない社用車を私的利用も認めて貸与した場合、課税対象となる給与として現物給与が発生します。

                      数年前から以下が認められています:

                      • 1%ルールで金銭的利益を算出する際、総額リスト価格(BLP)を4分の1にできる
                      • 走行記録簿方式を適用する場合、減価償却費(AfA)やリース料も相応に減額できる

                      ただし、これには車両の総額リスト価格が一定の限度額を超えないことが条件です。この限度額は近年引き上げられてきました:

                      • 2018年12月31日以降の取得:60,000ユーロ
                      • 2023年12月31日以降の取得:70,000ユーロ
                      • 2025年6月30日以降の取得:100,000ユーロ

                      限度額を超える場合は、算定基礎として総額リスト価格の半分を用います。引き上げ後の限度額は2025年6月30日以降に取得した車両に初めて適用されます。

                      特に社用車では、取得時期は「従業員に私的利用目的で初めて貸与された日」とみなされます(財務省通達 2014年6月5日、番号106294)。

                      例:

                      • 雇用主Aが2025年1月1日から従業員BにBLP 98,000ユーロのE-社用車を貸与。
                        → この場合、当該日は限度額70,000ユーロを超えているため、算定基礎は半額BLP。

                      例:

                      • 雇用主Aが2025年8月1日から従業員CにBLP 98,000ユーロのE-社用車を初めて貸与。この車両は2025年6月に購入され、プール車として業務専用で使用されていた。
                        → この場合は、2025年7月1日から限度額が100,000ユーロに引き上げられているため、算定基礎は4分の1BLPでよい。

                      なお、付随する消費税(付加価値税)に関しては、E-車両であっても常に満額のBLPが基礎となります。

                      E-車両に対する減価償却の優遇

                      さらに、立法者は所得税法(EStG)第7条第2a項に、CO2排出のない電気自動車に対する追加の償却制度を導入しました。対象は2025年7月1日から2027年12月31日までに新規取得した車両です(中古車は対象外)。

                      対象車両については以下の算術的・逓減法による特別償却が可能です:

                      • 取得年:75%
                      • 翌年:10%
                      • 2年後:5%
                      • 3年後:5%
                      • 4年後:3%
                      • 5年後:2%

                      この新しい償却制度は2025年以降、車種(乗用車、電動商用車、トラック、バスなど)を問わず適用されます。目的は、企業や事業主にCO2排出ゼロ車両の導入を促すことです。

                      一方で、従業員がこの特別償却を享受することはできません。従業員が走行記録簿方式で私的利用分を算出する場合や「コスト上限」が適用される場合に減価償却は関連しますが、その場合も現行通達では耐用年数8年間での定額(線形)償却とされ、雇用主が認められる特別償却は考慮されません。

                      補足:

                      従業員が自家用車で出張した場合に、実際の車両コストを経費として申告したり、雇用主が実費を非課税で精算する場合でも、コスト(減価償却を含む)は耐用年数に応じて期間配分する必要があります(連邦税務裁判所判決 2015年9月3日、VI R 27/14)。

                      1. 自営業と雇用の間の曖昧な境界線

                      業務関係をどのように具体的に構築するかは多様であり、実務上それを「雇用」か「自営業」かに明確に分類するのはしばしば困難です。そのため、社会保険料の追徴課税(加算金付き)を避けるには、早めに慎重かつ的確な判断が求められます。

                      背景

                      建設業では昔から偽装自営業が知られていましたが、最近では旅行添乗員、清掃員、フィットネストレーナー、介護士、出版社、運送業、IT業界でも増加しており、「発注者」は保険料を支払っていません。追徴金や利息、労働保護に関する訴訟のリスクがあるため、発注者は早めに就労形態を確認する必要があります。

                      発注者・受注者の双方にとって、自営業か雇用関係かの区別は必ずしも明確ではありません。特に問題となるのは、社会保険法・税法・労働法における判断基準が一致していないことです。

                      まず「本物の」自営業者とは、複数の顧客を持ち、どの仕事をどの条件で引き受けるかを自分で決め、いつ・どこで・どのように働くかも自由に決められる人です。多くの場合、自分のオフィスや設備を持っています。

                      一方で「本物の」従業員は、雇用契約に基づき、雇用主の指示に従って労働時間や労働力を提供する義務を負います。特に勤務時間、勤務地、業務遂行の条件について雇用主の指揮命令を受けます。

                      留意点: 

                      この「両極」の間には広いグレーゾーンがあり、年金保険の調査官や社会裁判所の裁判官は、全体的な状況を見て判断します。焦点となるのは「事業上の意思決定の自由」と「事業リスク」です。

                      判断基準 :

                      個々のケースでは総合的な事情が重要ですが、典型的には次の点が判断基準となります:

                      • 指揮命令従属性:発注者が業務の時間、場所、内容を具体的に指示しているか?
                      • 組織への組み込み:受注者は発注者の資源を利用しているのか、自前の資源を使っているのか?また発注者の組織にどの程度組み込まれているか?
                      • 事業リスク:受注者自身が経済的リスクを負っているか?

                      留意点: 

                      特に、受注者が従業員と同じ業務を行っている場合、あるいは以前に従業員として同じ会社で働いていた場合には、裁判所は偽装自営業と判断しやすくなります。加えて、受注者が自分自身で従業員を雇っていない場合は、偽装とみなされる可能性がさらに高まります。

                      要点: 

                      契約は形式的に正しく整備すべきですが、偽装自営業かどうかは契約書の名称ではなく、その実際の運用に基づいて判断されます。

                      偽装自営業の結果

                      最大の問題は社会保険料の負担義務であり、発注者にとって深刻な結果をもたらします。原則として「就労開始時」から適用され、後から判明した場合でも遡及します。これにより、多額の追徴金や延滞金、さらには刑事罰につながる可能性があります。

                      身分確認

                      被用者か自営業者かの法的確実性を得られるのは、**身分確認手続(SGB IV §7a)**だけです。これは発注者・受注者のいずれからでも申請可能です。

                      実務上のヒント: 

                      契約開始時だけでなく、長期的な業務関係においても状況が変化する可能性があるため、定期的に法的に見直すことが重要です。

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