- 株式譲渡所部分所得法における所得関連費用控除
- 税務署による抜き打ち現金レジ検査時の留意点
- EV社用車をより魅力的にする新たな税制優遇措置
1.株式譲渡所得の部分所得法における所得関連費用控除
株式譲渡所得は通常、所得関連の費用を控除せずに一律の源泉徴収税の対象となります。ただし、重要な利害関係を有する株主は、配当金について部分所得法を選択することができます。その場合、必要経費は控除対象となります。連邦財政裁判所によると、初めに適用要件が認められた場合は、その後要件を満たさなくなった場合でも、5年間は効力を失うことはありません。
背景:GmbHの株主は、申請の年に直接または間接的に少なくとも25%の株式を保有している場合、または少なくとも1%の株式を保有しており、かつ、その株主が取締役などで業務上、GmbHに深く関与している場合には、部分所得法を申請することができます。(所得税法第32d条(2)第3項)。この規定の適用により、配当金のうち60%に相当する所得金額から所得関連費用を控除した残額についてのみ、当該個人の所得税率(貯蓄控除なし)で課税されます。
留意点:このオプションは5年間有効であり、最初の適用次年度から4年間にわたって要件が満たされなくなった場合でも、その有効性には影響しません。連邦財務裁判所が次の事例で決定したものです。
事実関係:資本金の3分の1を所有するGmbH株主は、取得費用を外部から資金調達していました。同氏は2010年に所有株式を売却しましたが、売却益では借入金の残額を返済できなかったため、借入金に対する利子の支払いは売却後も継続しました。同氏は2010年の所得税申告において、譲渡損失を申告し、 GmbHからの収入に対する部分所得法の適用と、2011年から2014年における負債利息の控除を申告しました。その後の税務調査において、税務署は投資が売却された後の年度において部分所得法の要件が満たされていないと判断しましたが、そのような申し立ては認められませんでした。
税務署は連邦財政裁判所に上訴しましたが、裁判所は、部分所得法の有効性を認め、それによりその後の負債利息の控除も認める判決を下しました。
連邦財政裁判所は特に次の3点を明確にしています。まず、適用要件は、適用初年度にのみ満たされればよいとしています。次に、その後の4年間は要件の適用を証明する必要はないとしています。最後に、適用申請を行った年度に収入を得る具体的な可能性があれば十分であり、具体的な収入を実際に得ていることまでは必要とされないとしています。
2.税務署による抜き打ち現金レジ検査時の留意点
税務署は、現金取引の多い企業に対して、いわゆるレジ検査を実施することがあります。レジ検査では、レジシステムのデータが法的な形式要件を満たしているか、現金収支の記帳が適切に行われているかなどが抜き打ちで確認されます。
犯罪者もレジ検査があることを知っているため、税務署職員がレジ検査中に現金の支払いを要求することはないことを知っておくことが重要です。調査官がレジ検査に現れた際に、身分証明書を提示しない場合は、調査開始前に提示を求めるべきです。 レジ検査では、電子式およびコンピュータ化されたレジシステムのほか、アプリシステム、レジ機能付きの秤、タクシーメーター、走行距離測定器、ゲーム機、および店頭設置型レジも検査の対象となります。調査官は、キャッシュレジスターシステムの保存データやプログラミングを直接確認したり、後日検査を行うためにデータキャリアにデータを保存したりすることができます。
注: レジ検査で重大な不備が発見された場合、調査官は通常の税務調査に簡単に切り替えることができます。その場合、事前通知なしの会社全体の税務調査を受けることになります。
3.EV社用車をより魅力的にする新たな税制優遇措置
2023年末、ドイツ政府は対象となるEV(電気自動車)の購入に対する補助金を廃止しました。補助金は2024年も一定の条件下で支給される予定でした。
税制改革法(連邦参議院での可決は未定)は、減税措置により再びEVを強化することを目的としています。現在計画されている改正の詳細は以下のとおりです。
新たな価格上限:社用車を私用で使用できる者は、非現金給付としてその使用に対して課税されます。最も簡単な方法は定額給付金決定方式を採用することであり、これにより、毎月、車両本体価格の1.0%が課税対象となります(所謂1%ルール)。しかし、CO2排出量のないEV社用車の場合、2030年末までは課税対象となる金額が、4分の1、すなわち車両本体価格の0.25%のみとなります。当初、この規制は車両本体価格が4万ユーロまでの電気自動車のみに適用されていましたが、その後、上限は6万ユーロに引き上げられ、最終的には2024年1月より7万ユーロに引き上げられました。 税制改革法の中で、2024年7月1日からの遡及的に、上限額を95,000ユーロに引き上げることが検討されています。
新しい特別償却:さらに税制改革法は、2024年7月1日から遡及的に、新たに購入したEV社用車に対して、企業が特別償却を利用できるようにすることを目標としています。これにより、車両は6年間に渡って相当な割合で減価償却が可能となります。具体的には、初年度は購入価格の40%、2年目は24%、3年目は14%、4年目は9%、5年目は7%、6年目は6%の割合で減価償却できることになります。
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