1.電気自動車を社用車として使用した場合の減税枠の拡大(2024年以降)
2. 社用車に係る非現金給付のBFH判決
3. 有限会社の重要な持分の売却による損失
4. GmbH の破産に関するBFHの判決
5. 合計通知書による社会保険料の後払いに関する所得税上の取り扱い
- 電気自動車を社用車として使用した場合の減税枠の拡大(2024年以降)
成長機会法の一部としてすでに提示された法改正に加え、ドイツ政府は社用車の課税についてさらなる減税を計画しています。 政府の法案には以下の減税案が含まれています。 100%電気自動車の社用車をプライベートで使用する場合、非現金給付(non-cash benefit)の金額は車両定価の4分の1に相当する金額のみを基準として計算することができます。 ログブック方式(カンパニーカーの使用者が車の走行距離をプライベート利用分と仕事での利用分に分けて記録し、車両定価をそれぞれの走行距離で分割した金額の内プライベート利用分のみを非現金給付として計算する方式)が適用される場合、取得価額の4分の1のみがこの非現金給付の計算基礎として算定されますが、現行法ではこの規則は車両定価が60,000ユーロを超えない場合にのみ適用することができます。 ドイツ政府は、需要の拡大と、持続可能なモビリティを促進し、電気自動車の購入コストの増加を現実的な方法で減税案に反映したいと考えています。 このため、2024日1月1日以降に初めて登録される社用車については、非現金給付の減税の対象となる車両の最高価格を60,000ユーロから80,000ユーロに増額する予定です。
- 社用車に係る非現金給付のBFH判決
自宅駐車場の減価償却費は非現金給付額と相殺できない場合があります。
雇用主が従業員にプライベート利用可能な社用車を提供する場合、非現金給付として1% 方式またはログブック方式のいずれかにより賃金として課税の対象となります。ただし、従業員が勤務外での車両の使用料(例:月額料金、走行距離手当、リース料相当額など)を雇用主に支払う場合、従業員はその分については便益を得ていないため、負担した使用料は課税対象となる非現金給付から減額されます。この点、従業員が支払った車両関連費用 (燃料費など)も非現金給付額と相殺できる場合があります。
この度、連邦財務裁判所(BFH)は、従業員が車両を駐車場に保管する法的義務がない場合、従業員の自宅駐車場の費用は非現金給付の減額とはみなされない場合があるとの判決を下しました。
この訴訟は、社用車を所有する従業員が、自宅駐車場の減価償却費を非現金給付の減額として申告したいと訴えたものです。雇用主は社用車を慎重に扱わなければならないと規定しただけで、駐車場で保管する義務まではなかったと判断されました。 BFHは、社用車の提供と試運転のために駐車場の使用料を支払わなければならない場合にのみ、使用料を控除して福利厚生費(賃金)を減額できるが、これは駐車場の減価償却には適用されないと述べています。なお、この訴えでは従業員には車両を駐車場に保管する法的義務はなく、また、駐車場に係る費用は社用車の使用に依存しないため、プライベート利用分の按分計算も考慮されていませんでした。
- 有限会社の重要な持分の売却による損失
有限会社(以下GmbH)の持分を使って、意図的に損失を発生させる税務スキームが度々行われていました。しかしながら、2019年7月31日以降は容易ではありません。
連邦財政裁判所の過去の判決によると、(持分の売却による)利益の発生の有無については、個別の持分ではなく持分全体からの収入の全てを考慮しなければならないと規定しています。
背景
過去 5 年間に少なくとも1%を保有していた会社の持分を売却すると、その売却収入は事業所得となります(ドイツ所得税法 (EStG) の第 17 条 (1))。しかしながら、特に売却損失が発生する場合には、一般的に事業としての収益を得る意思があったかどうかという疑問が生じます。
事件の概要
資本金25,000ユーロのGmbHの全持分の所有者が、その持分を一つ1ユーロの25,000個の持分に分割し、分割した2015年11月の直後の2015年12月に資本金を1,000 ユーロ増資することを決定しました。25,001個目の新たな持分の名目価値は1,000ユーロです。この名目金額に加えて、500,000ユーロのプレミアムが資本準備金としてGmbHに支払われました。 2015年末、この全持分の所有者は、新たな持分とともに1個1ユーロ相当の300個の持分を夫に、原則的には妥当な購入価格であるとされる26,300ユーロで売却しました。そして、2015年の所得税申告書で、納税者は475,000ユーロの売却損失(売却価格の26,300ユーロから取得原価1,300ユーロとプレミアム500,000ユーロを差し引いた金額)を申告しました。
- GmbH の破産に関するBFHの判決
連邦財政裁判所(BFH)はGmbHの持分所有者が保証損失の計上を税務上主張できるという判決を下しました。GmbH の持分所有者が会社に対する債務保証を行っていた場合、会社が倒産したことで取得した求償権に関する損失については、税務上投資収益の減額として申告することが可能でした。今回の訴訟のケースでは、このような税務上の減額処理について、投資から得られるすべての収益を総合的に評価した結果、収益を獲得する意図があったと判断されたことから、BFHは2019年までの法的状況についてこのような判決を下しています。
- 合計通知書による社会保険料の後払いに関する所得税上の取り扱い
社会保険当局が当局の記録誤りを理由に雇用主に社会保険料の未払分の納付を要求した場合でも、個々の従業員に賃金が発生することはありません。連邦財政裁判所(BFH)は2020年の税務裁判所の判決を追認しました。
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