過去10年間、日本は多国籍企業による租税回避に対して様々な措置をとって来ました。特にグローバル企業に対する監視は年々厳しくなってきていますので、税務に関して十分な注意を払い、相当な配慮を行うことが必要です。
又、日本だけではなく各国も同様に、現在の貿易政策や外交政策に基づき独自の政策を掲げています。様々な状況により政策の更新が頻繫にあり、税務環境は国際的に目まぐるしく変化している中、企業は自国と日本、両方の複雑な課税要件を履行しなければいけません。
税務に関する問題は、事業拡大や日本市場への参入活動を成功させるのに避けては通れません。貴社の負担を減らす為にも、税務アドバイザーの助けを借りることをお勧めします。この記事では、税務アドバイザーの役割と、貴社に合った税務アドバイザーの選び方について説明します。
税務アドバイザーとは?
税務アドバイザーは、税務関連文書の作成・提出などは勿論、税務コンプライアンスに関する幅広いサービスを提供しています。税務アドバイザーは財務情報を記録し、確定申告など重要な文書を作成して、組織が税法に準拠していることを証明するだけが仕事ではありません。タックスプランニングや、罰金を回避する、節税する為にどういったプロセスを踏めば良いのかなどの相談をする事ができます。
初めて日本で事業を行う場合、事業を拡大する場合、いずれにおいても税務に関する問題というのは常に付きまといます。税務アドバイザーは、税務会計、移転価格、法人税確定申告とサポートなどの複雑な業務を引き受け、貴社の事業をサポートしています。
税務会計
企業の年間の取引は膨大な量になります。
どの規模の企業でも収益、支出、費用、出資者への利益配分の記録は必須です。更に大規模な多国籍企業は、外部又は内部の両方の企業間取引を通じた複雑な金融取引に関しても常に詳細な記録を残す必要があります。
取引が複雑な場合、単に確定申告のみを任せるだけではなく、常に税務アドバイザーに相談できるようにしておくことをお勧めします。確定申告を作成するのみの一時的な依頼だと、税務アドバイザーが全ての取引を把握することが難しくなってしまいます。特に大企業では、取引の過程を含めてこまめに記録するのを自社で行う事は大変です。その為、確定申告だけでなく税務全体をアドバイザーに依頼する企業は多くあります。
この様なサポートの他にも、日本市場調査、ローカリゼーションサポート、ビジネスコンサルティングなど、ビジネスとロジスティクスもサポートが必要な分野です。日本のパートナーに相談する事で、よりスムーズに日本市場への参入できます。
大企業は常に税務会計サポートの元で、取引を正確に記帳し、スムーズに確定申告を行える体制を整えています。
日本で活動する多国籍企業は年々増加していますが、日本は外国企業に対する制度も充実しています。日本は事前確認制度 (APA) を早くから実施しており移転価格に関する知識とスキルを持つ税務当局の職員は多くいます。
日本市場に初めて参入する企業や長年日本に進出している企業含め、日本企業は日本の移転価格政策に遵守する必要があります。日本では、連結売上高が1,000億円を超える企業は大企業と見なされ、移転価格に関する文書の作成が義務付けられています。この基準を下回る企業についても、グループ会社本社の国で作成が義務付けられているなどの理由で、文書化が必要な場合もあります。
税務アドバイザーは、関連会社間取引の文書化だけではなく、グループ会社全体の移転価格ポリシーの作成も可能です。移転価格に関するサービスには以下のようなものがあります。
- 移転価格監査
- 事前確認制度 (APA)
- 移転価格文章作成
- 移転価格リスクアセスメント
法人税確定申告とサポート
特に複数の子会社を持つグローバル企業は、税務コンプライアンスを満たしているかどうかを確認する事が難しい場合があります。場所によって様々な税制が貴社に該当する可能性があるからです。
透明性が高く、法令に準拠した納税申告書の提出をする為、年間を通して税務処理を行っている企業も少なくありません。日本の法人税には以下のようなものがあります。
- 法人税(国税)
- 地方税
- 事業税住民税
- 住民税
- 事業税
複数の地域で事業を展開していくと、税務コンプライアンスを満たしているかどうかの判断も、難しい時があります。
税務アドバイザーの利点
日本の税法は、年々複雑になって来ており、規模や業界に関係なく大きな課題となっています。しかしながら外国企業に対しての課税は、比較的優遇されていると言って良いでしょう。利益を得るためには、様々な納税義務を把握し、規制に従い、節税をする事が大切です。
作業効率を上げる
非効率的な税務処理は、無駄な時間とリソースを消費してしまいます。税務アドバイザーを雇うことで税務へ割く時間が節約でき、事業全体の効率を上げることに繋がります。更に、不正確な詳細、現地の規制に対する理解不足、経験不足等によって税務処理が上手く行かないと、申告漏れなどにも繋がり、日本での事業活動だけでなく、グループ会社全体にダメージを受けてしまうかもしれません。
納税負債とコストを減らす
税務アドバイザーを雇う大きなメリットは、納税額を軽減できる事です。税務アドバイザーは、日本の税制に関して豊富な知識を持っています。アドバイザーの助言を得ることで、コンプライアンスや規定を遵守し、円滑な取引や契約を行いながらも、税金の過払いを回避できます。又、提出の遅れ等で発生する不必要な罰金や罰則の支払いを避ける事もできます。
更に、事業計画やM&A活動等々、グローバル展開計画と税務は密接に関わっています。HLSでは税務も含めたグローバル展開をサポートしています。
税務の申告漏れを防ぐ
適切な税務処理をせずに罰則や罰金、大規模な訴訟が起こってしまった場合、金銭的にもブランドイメージ的にも、日本市場へ参入しようとしている企業にとっては大きなダメージになります。
単に時間の節約というだけではありません。より専門知識のあるアドバイザーに依頼することで、抜け漏れなどのリスクを減らし、安心して他の業務に集中する事ができます。
税務アドバイザーを雇うべき7つのシチュエーション
- 社内で税務担当を配属するのが難しい場合
- 日本進出が初めてで、現地の税務について相談したい場合
- 複雑な取引がある場合
- 複数の地域で活動していて、様々な法律を遵守しなければいけない場合
- 税務をより効率的に行いたい場合
- ビジネスが成長しているので、事前に税務に関する基盤を作っておきたい場合
- 今社内で行っている税務のやり方が非効率的な場合
信頼のおける税務アドバイザーに依頼することで、安心して他の業務に集中することが出来ます。
税務アドバイザーの選び方
税務アドバイザリーは、単に申告書の準備だけではありません。節税や税務コンプライアンスについての相談も含まれます。日本のみだけでなく、本社を含め貴社のビジネス全体を見つつ、税務の観点からより効果的に業務を行えるように助言出来る税務アドバイザーを雇うのが理想的でしょう。
評判
大規模な日本市場への参入活動をする際は特に、経験値などを含め、質の良いサービスを提供する税務アドバイザーに業務を依頼したい所です。税務アドバイザーは、日本でどの様にビジネスを展開していくのかを左右する事があるかもしれません。又、財務内容を共有する相手でもあるので、アドバイザーが信頼のおける相手である事は必要不可欠です。
もし誰かが良い税理士事務所を紹介してくれれば簡単に探す事が出来ますが、市場参入したばかりで紹介者がいる事は稀だと思います。そんな時に、顧客との実績を調べるのは一つの手です。顧客と貴社のビジネス形態が似ていたり、顧客から高い満足度をもらっていたりする事務所であれば、経験のある信頼できる事務所だと判断して良いでしょう。
国際会計の経験
日本だけでなく本社のある国での税法に詳しいアドバイザーを雇う事は、双方の国でビジネスを成功させるのに必要です。租税条約等、協定や条約の知識や、日本市場への参入活動に関して経験を持つ税務アドバイザーがいれば、よりスムーズに事業を展開することができます。
又、税務アドバイザーと一括りに言っても、法人税、税務デューデリ、税務調査、税務政策、プロビジョン、移転価格等、様々な専門分野があります。貴社が必要としている分野と税務アドバイザーの専門が合致しているかどうか事前に確認しておきましょう。
税務アドバイスと市場参入サービス
税務サービスは日本市場参入の中のほんの一部です。税務を含めた日本市場参入に関する幅広い知識、リソース、およびサポートができる会社をパートナーにすると、より市場参入がやり易くなるでしょう。
HLSでは、税務アドバイザリーは勿論、会計業務のアウトソースや人事・労働法のサポートなど、日本でのビジネス全体を支えるサービスを提供しています。
税務のこれから
財政赤字の拡大、少子高齢化、社会保障制度、国際競争力の維持といったマクロ経済要因を背景に、日本の税制環境は今後も変化し続けて行きます。
将来、どの様に税制が変わり、企業にどんな影響を与えるかをはっきり予測するのは難しいものです。しかしいずれにせよ、税務当局は引き続き、日本に所在する企業が十分な課税所得を報告しているかどうかを注視していくと考えられます。
税金対策は日本での事業展開に欠かせません。信頼のおける会計事務所と連携して、無駄のないプロセスを作る事が大切です。税務以外でも財務を中心に様々な事を相談出来れば尚良いでしょう。HLSでは日本で事業展開をする企業に、様々なサービスを提供しています。
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