中規模法人のための移転価格セミナー

※以下は、上記セミナー全11回のうち第9回を掲載しています。

(第9回)機能分析と検証対象法人の決定

 

 

1.「果たす機能」、「機能分析」の意義

取引当事者が果たす機能の分析は、独立企業間価格の算定方法の決定において重要な要素となります。

「機能」、「機能分析」という用語は、一般的な租税制度においてはあまり馴染みがない用語ですが、移転価格の実務においてはよく使用されます。この用語の意味や使用については、これから移転価格に取り組もうと考えている中規模法人には馴染めない部分だと思われますので、まずこの点についておおざっぱに解説します。

すでにお気付きと思いますが、移転価格税制は、ざっくり言えば、多国籍企業グループが、グループ外企業との取引において得た利益を、その取引に関与したグループ内の企業でどのように配分するかについて、客観的な基準で判断しようとするものです。

そのためには、それぞれのグループ内企業がその利益の獲得に果たす役割、利益貢献度を判定・評価することが大切です。移転価格の実務においては、このようなグループ内企業がその利益の獲得に果たした役割等について「果たす機能」といい、その役割等を判定・評価することを「機能分析」と称しています。

「果たす機能」は事業形態、取扱製品等によって多少異なりますが、一般的に「果たす機能」には次のようなものがあります。

  • 研究開発
  • 販売・マーケティング
  • 製造
  • 原材料・資材等の調達
  • 在庫管理
  • 債権管理
  • 顧客サポート

なお、「負担するリスク」の分析も行いますが、負担するリスクと得る利益(リターン)との関係は理解可能と思いますので説明は割愛します。一般的に「負担するリスク」には次のようなものがあります。

  • 研究開発リスク
  • 市場リスク
  • 製造リスク
  • 在庫リスク
  • 債権回収リスク
  • 製品保証リスク
  • 為替リスク

 

2.「機能分析」

移転価格税制においては、国外関連取引の当事者が果たす機能や負担するリスク、保有する重要な無形資産に応じた利益を享受すべきと考えられており、最も適切な独立企業間価格の算定方法を選定する際には、国外関連取引の内容や、国外関連取引の当事者が果たす機能、負担するリスク等に照らし、これらに適合する方法を選定する必要があるとされており、取引当事者の機能分析を行うことは必須となります。

そして、最終的な独立企業間価格の算定方法の決定は、次のような各算定方法の特徴を理解した上で行うことになります。

  • 独立価格比準法(CUP法)

取引当事者の果たす機能以前の問題として、国外関連取引に係る棚卸資産又は役務と同種の非関連者間取引に係る棚卸資産又は役務を見いだす必要があり、公開情報からこれを行うことは困難となっています。したがって、内部比較対象取引が見出せる場合に適用可能となります。

  • 再販売価格基準法(RP法)及び原価基準法(CP法)

比較対象取引の選定においては、棚卸資産や役務の類似性のほか、国外関連取引の当事者が果たす機能の類似性にも着目することになります。この場合、選定した比較対象取引と国外関連取引において取引当事者の果たす機能に差異がある場合には、その差異を調整する必要があります(これを「差異調整」といいます)。

  • 取引単位営業利益法(TNMM)

比較対象取引の選定においては、棚卸資産や役務の類似性よりも、国外関連取引の当事者が果たす機能の類似性が重要となります。当事者が果たす機能の類似性に着目して比較対象取引を選定するため、基本的には差異調整の必要がなくなり、比較対象取引の選定が基本3法に比べ容易になります。

 

3.検証対象法人の決定

独立企業間価格の算定方法について検討する際には、法人とその国外関連者のうち、 どちらを検証対象の当事者とするか決定する必要があります。

比較可能性が十分な非関連者間取引を見いだす観点からは、機能・リスク分析に基づき、より単純な機能を果たすと認められる方を検証対象法人とすることが合理的であるとされています。したがって、親子会社間取引に係る移転価格を検討する場合、実務では子会社を検証対象法人とすることが非常に多くなります。

 

以上

 

※《中規模法人のための移転価格セミナー》の次回掲載は来月の予定です。

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