中規模法人のための移転価格セミナー

※以下は、上記セミナー全11回のうち第3回を掲載しています。

(第3回)移転価格調査、事前確認、同時文書化

1.「過去」、「将来」、「現在」の移転価格

法人が移転価格税制について対応する場面は、大きく分けて次の3つの場面、①移転価格課税、②移転価格に係る事前確認、及び③移転価格の同時文書化です。一定の国外関連取引について、①は、税務当局が調査し、課税する場面で、法人は「過去の事業年度」の移転価格を算定するための書類等を用意する必要があります。②は、法人が「将来の事業年度」の移転価格について税務当局に事前に確認を求めるもので、法人は移転価格を算定するための書類等を用意するする必要があります。③は、法人が確定申告をするに当たり準備するもので、「当該(現在の)事業年度」の移転価格を算定するための書類等を用意するする必要があります。

2.移転価格課税(過去の移転価格)

税務当局が、移転価格税制に基づいて、納税者の国外関連取引について、独立企業間価格の算定方法に基づいて算定した独立企業間価格で行われたとみなして課税します。

【平成29年3月31日以前終了事業年度】

税務当局は、税務調査を実施し、「過去の事業年度」において問題がありそうな国外関連取引について、法人が保存している帳簿・書類、法人から任意に提出された国外関連者の関係書類、及び公開情報から得られる同業他社の情報等をもとに、あるべき独立企業間価格の範囲を算定し、実際の国外関連取引の価格がその範囲を逸脱している場合に課税を行います。

【平成29年4月1日以後開始事業年度】

税務当局は、税務調査を実施し、「過去の事業年度」において問題がありそうな国外関連取引について、法人が保存している独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル)又は法人に提出を求めたローカルファイルに相当する書類、及び公開情報から得られる同業他社の情報等をもとに、あるべき独立企業間価格の範囲を算定し、実際の国外関連取引の価格がその範囲を逸脱している場合に課税を行います。

3.移転価格に係る事前確認(将来の移転価格)

法人が「将来の事業年度」における国外関連取引に係る独立企業間価格について、ローカルファイルと同様の書類を作成した上で国外関連取引に係る営業利益率の幅(レンジ:許容範囲)を設定して税務当局に申請し、税務当局がその内容を審査し、必要に応じて法人に修正を求めた上で、最終的にその申請内容について確認を行うことをいいます。

事前確認の対象事業年度において、国外関連取引に係る検証対象法人の営業利益等が、事前確認で目標とした利益率の幅(レンジ:許容範囲)に収まっていれば、税務当局は移転価格課税を行わないという効果があります。

事前確認は、その性質上税法には馴染まないため、国税庁の事務運営要領で定められていますが、先進各国でも同様に事前確認が行われており、制度として定着しています。

4.移転価格の同時文書化(現在の移転価格)

法人は、一の国外関連者取引について 、①国外関連取引の合計金額(前事業年度)が 50 億円以上又は②無形資産取引の合計金額(前事業年度)が3億円以上である場合は、当該国外関連取引に係るローカルファイルを当該事業年度の確定申告書の提出期限までに作成又は取得し、保存しなければならないというものです。ローカルファイルの例は国税庁がホームページで公表しています(第2回参照)。

また、国外関連取引の合計金額が上記の基準に満たない場合でも、税務調査において調査官から提出の要求があれば、一定期間(60日以内の調査官の指定する日)以内にローカルファイルに相当する書類を提出する必要があります。

以上

※《中規模法人のための移転価格セミナー》の次回掲載は来月の予定です。

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