米国新税制の影響 ― Tax Cuts and Jobs Act

2017年12月22日にトランプ大統領によって米国税制改正法案が署名されました。これにより様々な税法改正が法人税務、個人税務、国際税務等の分野で実施されます。下記ではその改正案からいくつかの項目を抜粋しております。概要のみを述べるに留めておりますので、詳細が必要な場合は当事務所までお問合せください。新法ではおもに2018年1月1日以降に始まる年度から適用されます。

主な法人税務及び国際税務改正概要

法人税率改定

従来では最高税率を35%とする累進課税でしたが、新法では一律21%に引き下げられます。

代替ミニマム税(AMT)撤廃

従来では法人所得に代替ミニマム税が課せられていましたが、新法ではこれが撤廃されます。

繰越欠損金(NOL)

従来では繰越欠損金で控除できる課税所得に制限はありませんでしたが、新法ではこれが当期課税所得の80%までに制限されます。また、従来では繰越期間は20年まで、繰戻期間は2年までとされておりました。しかし新法では繰越期間を無期限に、繰戻は廃止されます。なお、2017年までに発生した繰越欠損金は従来のルールが適用されます。

固定資産の一括損金算入(179条)

従来では、米国歳入法179条の下、当年度の固定資産購入金額の合計が$2,000,000を超えない限り、最大$500,000までを一括損金算入することができました。新法では当年度の購入金額合計が$2,500,000を超えない限り、最大で$1,000,000の一括損金算入が可能となります。

固定資産の一括償却(168(k)条)

従来の168(k)条下では特定要件を満たす固定資産購入に対し50%の一括償却が認められていました。新法ではこれが100%となります。ただし2022年以降毎年この償却率が段階的に縮小していきます。

支払利子の損金算入制限

従来では米国歳入法163条(通称過小資本税制)に準じ海外関連法人への支払利息の損金算入に制限が設けられていました。新法では調整後課税所得(課税所得に支払利息や税金、減価償却等を加えた所得)の30%を超えるネット支払利息の損金算入制限制度が導入されます。

国内製造業者控除の撤廃

従来では国内で製造に従事するものに最大で9%の控除が認められていましたが、新法ではこれが廃止されます。

国内配当所得控除の改定

従来では、株式持ち分に応じて70~80%の配当所得控除が認められていました。新法ではこれが50~65%へと縮小されます。

海外からの配当金免税制度

従来では外国子会社等からの配当所得は米国で課税されていましたが、新法ではこの益金の算入が原則免除となります。

国外累積未配当所得への強制課税

上記海外からの配当金免税制度の施行にあたり、海外で累積されている未配当利益があれば2017年度で特別な税率で課税対象となります。

税源浸食防止税の制定

Base Erosion and Anti Abuse Tax (BEAT)が新たに施行されます。海外の関連者への支払いがある場合、特定の方法でBEATが算出され、課税されることになります。ただし、50%超の関連グループで過去3年の平均売上が$500Million 超が対象となります。ここで海外関連会社の売上げは米国事業所得に関連する売上げのみが含まれます。

海外低課税無形資産所得(Global Intangible Low-Taxed Income)への課税

従来からSubpart F所得と呼ばれるように、海外子会社が生み出した所得のうち基準を満たすものは米国親会社でも課税所得として認識をするルールが存在しました。新法では新たに海外低課税無形資産所得(以下「GILTI」)を課税所得に合算することが義務づけられます。GILTIは、CFCで発生した一定以上の所得を米国親会社の株式持ち分に応じて特定の方法で算出されます。

CFC認識の条件変更

従来では海外子会社を50%以上保有する場合その会社はCFCとして認識されていました。この定義に加え新法では、海外子会社を、海外親会社を通じて保有する場合でも、その海外子会社が米国法人のCFCと認識されることになります。例えばある海外子会社を米国法人で40%、海外親会社で60%保有していた場合、この海外子会社は米国法人のCFCと認識されます。

主な個人税務改正概要

個人所得税率改定

従来では10%、15%、25%、28%、33%、35%、39.6%という累進税率でしたが、新法では10%、12%、22%、24%、32%、35%、37%にこれが改定されます。

標準控除の増額

従来の制度では2018年度の標準控除は夫婦合算申告の場合$13,000、独身者・夫婦個別申告の場合$6,500となっていました。新法では夫婦合算の場合$24,000、独身者・夫婦個別申告の場合$12,000となります。

人的控除の撤廃

従来の制度では2018年度の人的控除は一人当たり$4,150ですが、新法では人的控除が廃止されます。

扶養子女控除の変更

従来では基準を満たす扶養子女に最大$1,000の税額控除が認められますが、新法ではこれが$2,000となり、かつ$1,400までは税額がなくても還付請求可能となります。また、控除には扶養子女に納税者番号(ITIN)ではなく、社会保障番号(SSN)が必要となります。

項目別控除の縮小

従来の制度で認められていた地方税、固定資産税、寄付金、住宅ローン利子等の項目別控除の控除額が制限されます。

代替ミニマム税(AMT)の変更

個人所得税においては新法でも代替ミニマム税は残る一方で、AMT控除額が増えます。例えば夫婦合算申告の場合、従来の$86,200から$109,400と増額されます。さらに従来は$164,100を超える所得から漸次的にAMT控除額が減額されていましたが、新法ではこの所得基準が$1,000,000となります。

オバマケア税制の変更

従来では通称オバマケア税制に規定される必要最低限の医療保険に未加入の場合、罰則金が課せられていました。新法ではこの罰則金は廃止されます。

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